中国の建築物
読書月間で歴史本を読んでいるとちょいちょい出てくるこの儒教。

とりわけ儒教には、その後派生した学問に朱子学と陽明学があるとのこと。儒教を簡単におさらいしながら、朱子学と陽明学の特徴やら違いやらについて簡単にまとめておきたいと思います。

今回は暫定的なまとめということで、新たに知識搭載したら加筆していきます。

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儒教 – 修己治人を目標にした実践的な教え

儒教の始祖、孔子
儒教は古代中国の代表的思想として孔子が唱え大成させたものです。
一言で言えば「修己治人(しゅうこちじん)」の学であるとされ、「己(おのれ)を修め人を治める」ことを意味します。自身で道徳的修養を積み(=修己)、その道徳を持って人を善導し治める(=治人)というもの。
暴力や争いが絶えなかった時代、支配者の武力や力のみが天下を治める術となっていたことに反発し、そんな覇道でなく徳による王道で天下は治められるべきだと訴えました。

一般的には、五常(仁、義、礼、智、信)と呼ばれる5つの徳性を養うことで、自身と関わり合う五倫(夫婦、父子、朋友、長幼、君臣)との関係性を良好に保つことを教わります。
特に五常の中でも「仁(人と接する心の在り方、思いやり・真心)」が重んじられ、家族を中心とした父母兄弟を大切にすることが説かれている点がポイントです。

とりわけ日本に儒教が伝わった際は、権力者がより支配力を強めるために利用されたとして若干性質は異なっていたそうな。孔子の教えにある「先人の教えは尊重すべき」という理念が、日本では「権力者には逆らうな」という思想として定着し、より封建制(主君ー家来、地主ー小作人の関係性)を強める発端になったと言われています。

儒教からの朱子学、からの陽明学

そんな儒教から派生した朱子学と陽明学について以下でまとめ、その違いを比較していきます。
関係性としては、儒教をベースにそれを発展させた形が朱子学で、その朱子学を真っ向から批判し否定したのが陽明学です。

 儒教
 ↓
朱子学 ⇔ 陽明学

朱子学 – 封建社会を支えた学問

朱子学は11世紀、宋の朱熹が大成した教えです。
身分秩序や格物致知、理気二元論といった考え方を重視し、特に身分秩序に関しては、自然や万物に上下関係・尊卑があるように人間社会にもそのような差別があって然るべきと考えていました。
具体的にその上下関係は「礼」として見出され、「敬(つつしみ)」(※うやまいではありません)を持ち、礼をわきまえ主君に従うことを説いています。

日本の江戸幕府でもこの朱子学が採用され、秩序に重んじた保守的な体制を作り上げることに成功しました。しかし、時とともにその考え方だけ独歩し、同時にあった道徳主義的側面が失われ腐敗を招く結果につながったことも事実として残っています。

陽明学 – 行動派知識人を育成する学問

陽明学は、その名の通り明の王陽明が始めた学問です。
致良知、心即理、知行合一といった言葉で語られ、朱子学を否定して生まれた思想としてその中心に「孝」を掲げています。
これは、単純に「親孝行する」という意味のみならず、周囲の人間との関係性を重視し誰とでも懇ろに親しみ、上の者を敬い、下の者を軽んじ侮らないこと即ち「愛敬」を具体的な実践として説いています。

朱子学の「礼」という形式的なものでない、自由な心から生まれる心の正しさを尊重し、行動・実行することが肝要だとしています。

ただ、当時の幕府にとって「孝を持って行動する陽明学」は危険思想そのものでした。各々が自由に考え行動を起こす思想は厄介と感じた幕府は、官学として国の学問にしなかったり、陽明学に通じる学者などを島流しにしたりもしました。

朱子学と陽明学の相違点

上記のように、朱子学と陽明学には身分秩序や人間関係に関して、全く異なる思想があることがわかります。

また、その他にみられる代表的な違いとして「先知後行(せんちこうこう)」と「知行合一(ちこうごういつ)」という言葉があげられます。

「先知後行」は朱子学の言葉であり、先にも触れた理気二元論のことを言います。人の「知(知識・学問)」と「行(行動・実践)」の関係は、あくまで知が先にあり、行動はその後に為されるものとし、「知」と「行」は一致しない全くの別物という二元論のスタンスをとっています。

それに対し、陽明学の「知行合一」はその字の通り、知行を分けることはできず、一体の連続したものであるとした考え方を持っています。
「知行合一とは?」と弟子に問われ、「知って行なわざるは未だこれ知らざるなり」と王陽明が答えたのも、「どれほど知識があっても、行動が伴なわなければその知識は無駄である」ということを示しているからです。

知識の取得に根ざした朱子学と、知識を実際に使うことでよしとした陽明学には、このような違いもあります。

まとめ

今回はサラッとまとめた感を出しましたが、実際まとめきれていないのが現状。
やっぱり思想や哲学は一筋縄ではいきませんでした。奥が深いゆえ一度腑に落ちそうなことも、また新たな解釈が出てきて??の連続。

朱子学、陽明学ともにまだ他にも説明しきれていない部分があるため、それぞれ自分の言葉で説明できるようになってからリベンジしたいと思います。
どちらにしろ2つの学問とも、儒教の一派にはかわりないため、根底に「修己治人」があることを是非覚えておいて下さい。