少し前のツイートで、いつの間にか日本の経済指標が割りと残念なことになってるよ、というデータを目にしたのでちょっと気ままに調べてみました。

今回紹介するデータは、主に「GLOBAL NOTE」というサイトから持ってきています。様々な分野の国際統計データを専門に扱っているとのことで、より詳しく知りたい方は直接サイトを覗いてみてください。

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名目GDP(国連統計)は世界第3位を維持、だが

名目GDP(国連統計)トップ10
こちら名目GDP(国内の付加価値合計額)の世界トップ10ランキングです。
日本は、2009年中国に抜かされて以降、変わらず世界第3位を維持。中国の出す統計自体は、信頼できるものではないため比較しても仕方ありませんが、アメリカや4位ドイツとの距離感は、特に注意しておきたいところ。

いくら3位とは言っても、アメリカとは実に4倍以上もの差があり、アメリカにできるのだから日本でも、という論調は全く的外れであることは認識しておかないといけません。

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名目GDP(国連統計)トップ10グラフ
資料:GLOBAL NOTE 出典:国連

1990年から2015年までの推移がこちら。[※クリックで拡大]
日本(水色)自体が近年、マイナス成長を続けているため、4位ドイツ(紫)に抜かれるのもリアルに時間の問題となっています。

さらには、5位イギリス(青)、6位フランス(黄緑)も数値的には差があるものの、ここ数年の成長率は常にプラスを維持しているため、日本がトップ5から脱落するというシナリオももしかしたらという状況。

欧州は、難民問題やISからのテロ攻撃もありながらも、先進国は軒並み堅調を維持しているようです。

散々な結果の”1人当たり”名目GDP、日本は世界第3、、

1人当たり名目GDPランキング
先ほどの名目GDPを、国民の数(人口)で割った数値をランキングしたのがこちら。国民1人当たりの付加価値額が算出されているのですが、、、

ご覧のとおり日本どこ?な状況で、ランキングぎりぎりまできてやっと見つかる35位。先ほどとは打って変わって渋い結果となっています。

これはよく、日本人の生産性の低さを揶揄する際用いられますが、まさにその通りの結果に。労働時間は長い割に、1人当たり生み出せる付加価値額は、他の先進国と比べてまぁ低い。

1人当たり名目GDP(日本)推移
▶ 資料:世界経済のネタ帳 出典:SNA(国民経済計算マニュアル)

実はこの25年間、1990年代初頭からこの1人当たり名目GDPはほぼ変わっていません。人口の多さや少子高齢化はあれど、技術大国と言われた国が、ここまでテクノロジーの恩恵も受けれずきてしまったとは悲しい限り。

この数値を維持するにしても、これまで以上の生産効率の実現か、こなす仕事の付加価値を上げるかくらいしかありません。それこそ人に代わる労働力としてのロボットは、いま世界中で開発競争が行われていますが、下り坂の日本では研究開発費を突っ込むことすら及び腰。
糸口やキッカケもつかめず、どうしたものかと。

ランク上位の後進国は、基本的に人口が少なく、資源や観光、金融といった産業で経済を回している模様。日本も資源は期待できませんが、円安を受けて観光などは好調なため、何かヒントになるものがあればなぁと。

失われたウン十年の象徴であるGNI(国民総所得)

1人あたりGNIランキング
ついでにということで、こちら1人当たりのGNI(国民総所得)についてもみていきます。

世界中が豊かになっていく中、成熟国として蚊帳の外に置かれてしまったでござるの巻。こちらも以前から日本はほぼ成長しておらず、その間に後進国の発展が進んだ結果、ランクは勢いよく急降下。

つい2012年のランキングでは、15~20位あたりに位置していたものの、あっという間に34位へ後退。

あくまで総所得が均等に分配された場合の額なため、この指標自体リアルな所得を表してるわけではありませんが、その水準がイタリアはともかくイスラエルと同等で、ニューカレドニアよりも下というのはやはり寂しいところ。

ちなみにニューカレドニアは、世界のニッケル資源の4分の1を有しており、リゾート地としても有名なのだとか。やはり小国は資源と観光なんですかね。

世界第3位という地位に惑わされないように

今回ネットで話題になっていたのは、こうした指標を通してみた日本が、”経済大国”と言われていたイメージとは全くかけ離れていた、というギャップへの驚きだったと思います。

あまりの停滞っぷりから、今の世代にとってジャパン・アズ・ナンバーワンいう話は完全に過去のものであり、とはいってもそこまでひどくはないでしょ、と思っていた控えめな層にも、えっこんなひどかったの?マジか、、 と、予想以上に重いパンチを食らわせた感があります。

長時間労働の末、なんとか世界第3位の付加価値は生み出しているけど、それが所得に反映されず、生活も楽にならないので家庭も持てず子供も増えず労働力がガン下がり、というのがこれまでの指標でみる日本。
希望もクソもありゃしないとはまさに。もう少しマシかと思ってたと、若い世代に言われるのも納得。

ただまぁ、そんな時代に生まれたからこそ、次の世代には夢のある社会で不自由なく暮らしてほしいなと思いますし、失ったものは取り戻すのではなく、どう新しいものを作っていくか模索しないといけないなと、改めて。

次は自分たちが日本を引っ張っていく番ですからね。


▶ GLOBAL NOTE – 国際統計データ専門サイト : http://www.globalnote.jp/