論理的思考
物事の証明や推論、仮説を立てる際、その論理の組み立てとして活用される「演繹法」と「帰納法」。
ロジカルシンキングの基礎であり問題解決によく使われる手法ですが、たまに整理しないとどちらを何に使うか忘れてしまう。

ということで、今回はその違いや活用例についてまとめておきます。

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仮説立ての「演繹」と共通項を見出す「帰納」

書いてまとめる
実際のところ、普段はどちらがどっちと意識せずこの演繹法と帰納法は使われています。

特に実務では、アイデア出しや調査・分析、プレゼンテーションの発表に至るまで、ケースに応じて使い分けられ、互いを複合したアプローチも珍しくありません。

演繹法

まず、演繹法はいくつかの条件や前提からそれらを組み立て、最終的な結論を導き出すという方法です

例えば代表的な例として、
 前提1:「人は生き物である」
 前提2:「生き物はみな死ぬ」
 前提3:「死んだものはみな天国へいく」
 前提1、2より:「人はみな死ぬ」・・A
 前提3と A より:「人はみな天国へいく」・・結論
というものがあります。ちょっと極端な例ですが笑

これは、ある条件や前提・ルールのあるゲームや環境下において、それらが揃った時何が起こるのか、どんな結果がもたらされるのかを見出す・結論付ける方法になります。

トランプやボードゲームを思い浮かべるとわかると思いますが、あらかじめ決められたルールの中で、どこかに抜け道がないか、どう進めれば優位に立てるかを考える際、無意識に演繹法を用いていることになります。

前提が真実であれば、その結論も真実である、という性質を持ち、結論の根拠となる前提条件をいかに精査し信ぴょう性の高いものにできるかどうかがプレゼンや提案などの焦点にもなります。

帰納法

次に帰納法です。こちらは、複数ある物事や観察した結果からその共通項や要点を導き出す方法です。

ブログなどを書き始める際、自分の好きなテーマで「グルメ」や「マンガ」、「音楽」などと書き始めると、テーマが散乱し方向性を見失う時があります。
そんな時、それらの要素を整理し、共通項を見つけ出す帰納法でテーマを設定できれば、その局面を打開することができます。

例えば上記「グルメ」「マンガ」「音楽」であれば、「娯楽」や「エンタメ」という共通テーマを導き出せ、それに少し工夫して「週末を1人でも楽しめるエンタメ情報発信ブログ」という1つの見せ方を提案することができます。

もちろんブログに限ったことではないですが、あらかじめテーマや目的が決まっていても、途中で軌道修正や見直しを迫られるのはよくあること。
そんな時に、整理した要素やこれまでにしてきた事を洗い出し、共通項を見出しながらそれを踏まえることで、より効果的な方向転換・やり直しを検討することが可能です。

プレゼンにおける演繹法と帰納法

教えているところ
これらの手法を調べていると、実は国や地域によってどちらの方法でプレゼンをした方がより効果的か、というトピックも見つけました。

演繹的か、帰納的か――聞き手の文化でプレゼンを変えよ | DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

観察結果を重視する国々(帰納的)
 アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリスなど
原理を重視する国々(演繹的)
 イタリア、フランス、ロシア、スペイン、ベルギーなど
両軸の中間
 ブラジル、メキシコ、デンマーク、スウェーデンなど

これは各国の教育制度によって生じる思考パターンの違いで、演繹的な思考を求められるケースと帰納的な説明がより効果的なケースと分けて存在するというものです。

たいてい個人で分析や調査をする際、そのアプローチの方法に制限はありませんが、それを誰かに説明したり理解してもらう場では、相手によって伝え方を工夫する必要があります。
1つ1つの原則や条件を組み立てて出した演繹的結論なのか、複数の要素・観察結果から得られた共通項が根拠の帰納的結論なのか。

実際、国によってどこまで違いがあるのか実体験ではなんともいえませんが、グローバルに活躍したいビジネスパーソンや同僚や上司に外国人がいる方は、ぜひ頭に入れておきたい視点だと思います。

各国で発達してきた哲学や宗教・思想が影響していると考えられており、ここでも教養としてそれら学問を学んでおく意味もあるのでは?と考えさせられます。

まとめ

こうしてまとめてみると、改めて整理するほどもなく身近なものに感じられますが、後で誰かに説明する時や簡潔に物事を教える際、非常に便利なツールとなります。
自身の知識やスキルを言葉に落とし込み整理しておくという行為は、今後に向けて自身の実力・現在地を知る手助けをしてくれるのです。

今回は「演繹法」と「帰納法」でしたが、折に触れ自分のできることできないことを言葉に落とし込み、体系的に整理してみるといいかもしれません。