経済は世界史から学べ!表紙

経済を学びたいけど、コテコテの専門書は取っ付きづらい!という方にオススメの経済入門書を紹介します。
今回取り上げる『経済は世界史から学べ!』は、茂木誠さんという駿台予備校の講師が書いたもので、受験レベルの世界史を用いて経済の成り立ちやその仕組を解説してくれます。

世界史から経済を解説するという、予備校講師独特のアプローチにその手があったかと。確かに国の成り立ち・発展と共に商業が隆盛し、経済が生み出されてきた流れを考えると至極当然というか、セットで学ぶことは非常に合理的です。

専門用語はほとんど使われず、丁寧な説明と図解のお陰で高2で世界史を捨てた自分でも難なく読み進めることができました。

経済や世の中の成り立ちについて、1つずつおさらいしている暇はない!という方でも、双方を効率よく学べるはずです。

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目次とコンテンツ概要

本書の章立ては以下のようになっています。

第1章 お金(1)- 円・ドル・ユーロの成り立ち
第2章 お金(2)- 世界経済と国際通貨
第3章 貿易 – 経済の自由化
第4章 金融 – 投資とバブル
第5章 財政 – 国家とお金

第1章では、現在のお金や貨幣制度の成り立ちを各国の歴史から学んでいきます。
第2章では、各国で生まれたお金が、世界に流通し始めることで起きた出来事・事件(争い)を紹介。
第3章では、各国間で活発化する貿易に焦点を当て、「自由主義」と「保護主義」が国の成熟度合いによって役割を変える事を学び、第4章では国の盛衰に金融機関(銀行、証券会社など)がどのように関わってきたかを明らかにしています。
最後の第5章で、過去に行われてきた経済政策が国にどのような影響を与えてきたのか。また、公共事業の性質やアベノミクスを世界史的観点から解説するなど、過去のみならず現在についても着目し、今を読み解くための素養をしっかり養える内容です。

世界史の知識ほぼ不要のわかりやすさ

経済は世界史から学べ!サンプルページ
世界史から学べと言われても、その世界史の知識がそもそも無いし、という状態からのスタートにも関わらず、正直それが必要無いくらいわかりやすかったのが第一印象です。
画像を見ていただくと分かる通り、各章・節の終わりに中身をまとめた図が載っており、何が書かれてあったか確認しながら読み進められます。出てくる登場人物も似顔絵付きで、似てるかどうかはさて置き(リンカーンは似てました)、イメージしながら学べる点が特徴です。

過去の歴史から物事の背景を学び、現在の問題に適用しながら進んでいく本書。
当時わかっていたようで上手く説明できなかったリーマン・ショックの一部始終や経済成長から世界恐慌へのメカニズム、はたまたTPP問題のカラクリについて全ての出来事が個別でなく、一連の流れとして把握できることが理解度に決定的な差異を生むと実感できる内容でした。

経済は数学のセンスが問われると毛嫌いしてる学生やそのまま社会人になってしまったという方、ニュースの話題を子供に聞かれ上手く答えられなかった方など、世界史というアプローチから経済を見てみるとまた面白い発見ができそうです。

お手軽に読める240ページ

そして何より嬉しいのが、経済と世界史を扱っていながら全くハードな読書時間を要求されないという点です。
全ページ数240で、はじめとおわりを除くと実質207ページしかありません。各章40~50ページほどなため、通勤通学で一章分読めれば早くて3日、長くても1週間かからずに読み終えることができます。

もちろん週末を使えば半日程度で読めてしまうため、気軽に読んで教養としての経済を学んでみてください。

まとめ

世界史に出てくる横文字が苦手で、受験勉強では早々に見切りをつけたはずでしたが、今回は抵抗なく読めたことは収穫でした。今後世界史を学ぶ際も難なく向き合えそうだなぁと。まさか経済本のお陰で世界史アレルギーを克服できるとは、予期せぬ副作用をもたらしてくれた感じです。

苦手な分野も、視野を広げて他方面と合わせるとより理解しやすくなる、という点を踏まえると教養の醍醐味も味わえる書籍とも言えそうです。