next-world2ビール片手に元気そうに語らう2人の老人

NEXT WORLD第2回のテーマは医療テクノロジーです。医療テクノロジーによる寿命革命のカギに「老化メカニズムの解明」「がん研究の進化」「予知医療の登場」を挙げ、医療現場の最先端事例を紹介しています。

ちなみに自分は、昨年末のゼミ同窓会で、5~6コ上の先輩から「先輩はどういったお仕事されてます?」的な投げかけを頂戴しました。ええ、全く関係ないですよ。それにしても若返り技術の普及が待ち遠しい。

ということで番組の流れです。

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第2回『寿命はどこまで延びるのか』

1. 老化をコントロールする物質の発見と開発
 ・老化をコントロールするはじめての物質『NMN』
 ・『サーチュイン遺伝子』を活性化させることがカギ
2. 『NMN』の老化コントロールから若返りへの転用
 ・老化を止める信号の活性化
3. 最先端医療テクノロジー事例
 ・バーチャル心臓、ワトソン、超高性能半導体
 ・3Dプリンターによる移植医療の進歩
 ・手術ロボットによる施術可能性の拡大
4. がん治療最前線
 ・ナノマシンが可能にする、新時代のがん治療
 ・がん発生のパターン解析
5. 病気になる前に病気の芽を摘む、予知医療
 ・予知のカギとなるビッグデータの収集方法
 ・ビッグデータが可能にする死の予知

1.老化をコントロールする物質の発見と開発

– 老化をコントロールするはじめての物質『NMN』
老化研究の第一人者 ワシントン大学医学部 今井眞一郎教授

・老化を鈍らせ、寿命を延ばす可能性を持つ『NMN』物質の発見
→メスのマウスの寿命を16%伸ばすことに成功、人換算10歳前後の長寿化
・『NMN』自体はどんな生物にも元から存在している物資、加齢とともに減少する
・人為的に増やすことで、老化を留めるばかりでなく、弱った臓器も回復させる
→糖尿病のマウスに『NMN』を1週間投与することで、血糖値の減少に成功
・『NMN』は、身体が失いつつある、もしくは落ちてきてしまっている機能を補正する
→現在アルツハイマー病への効果も判明、有効な予防策として期待されている
・実用化に向け、日本の大手食品製造会社は、独自に『NMN』を製造できる技術を開発
→研究用の試薬でも、0.1gで4万円
→世界中のオーダーに対応できる体制を整えている

– 『サーチュイン遺伝子』を活性化させることがカギ
・コンピュータの計算能力が飛躍的に向上したことにより、遺伝子を読み取る情報量がこの20年で100万倍に向上
・ヒトゲノム解析も爆発的に進み、老化をコントロールする長寿遺伝子『サーチュイン遺伝子(全7種)』を発見
→普段は十分機能しておらず、このサーチュイン遺伝子をどうやって目覚めさせるかがカギになっていた
→7種あるサーチュイン遺伝子全て活性化させる物資が『NMN』

2.NMNの老化コントロールから若返りへの転用

– 老化を止める信号の活性化
長寿研究の第一人者 ハーバード大学 デイビット・シンクレア教授

・脳の視床下部では身体全体に老化を止める指令を出していることがわかっており、加齢とともに弱まっていく
・『NMN』は視床下部を刺激し、全身への指令を再び強くできることがわかってきた
→生後22ヶ月のマウスに『NMN』を1週間投与したところ、生後6ヶ月相当の身体に若返った

・研究が進めば若さを保ったまま歳をとるという劇的なパラダイムシフトが起きる
・90~100歳の人が、20歳代の身体でいられる可能性も

3.最先端医療テクノロジー事例

テクノロジーの発達により、これまで困難だった事が可能に
・バーチャル心臓:コンピュータ上で、患者の臓器を寸分違わない高精度なモデルとして作成
→血管の位置から施術箇所まで全方位から確認でき、事前に綿密なシュミレーションが可能
・IBMの人工知能『ワトソン』:過去の膨大な症例を患者と照らし合わせ診察し、最適な治療法を提案
・超高性能半導体:薄いシート(テープ?)状の半導体を直接臓器に貼り付けることで、情報収集が可能

– ウェイクフォレスト大学 再生医療研究所
・3Dプリンターの発達により、移植医療に革命を起こっている
・人の細胞を培養し、臓器を作り出すことができるようになった
・これまで臓器製造の最大の壁は、立体的な組織の製造だった
→平面での組織作りは可能でも、血管や神経を持つ複雑な臓器作りは難しいとされていた
・しかし3Dプリンターによって、立体組織の製造がかのうになった
・現状では、まだ人体への拒絶反応など課題はあるが、臓器を取り替えるという医療が現実味を帯びてきている

– スウェディッシュ メディカルセンター(ワシントン州シアトル)
・人には困難な手術をロボットの力で可能にした
・手術ロボット「ダビンチ(da Vinci)」
・医師は手術台から離れた場所でロボットを遠隔操作
・人間には不可能な可動域を誇る3本のアームが、困難な手術を可能にする
→肉眼では捉えきれない血管も、緑色に光らせ位置を把握しながら施術できる(この技術は日本では未承認) → 出血を最小限に止めた処置が可能
→30分かかるがん摘出を10分で完了させる

4.がん治療最前線

– ナノマシンが可能にする、新時代のがん医療
東京大学 片岡一則教授

・がん医療を根本から変える技術「ナノマシン」の開発
→大きさ:20万分の1㍉
→原料:ポリマー(高分子化合物)
・ポリマーに薬を垂らすと、自動的に薬を包み込みカプセル状の構造になるように設計されている
・内部に大量の薬を搭載するミクロのロケット弾であり、がんをピンポイントで狙い撃ちできる
→ナノマシンの表面に搭載するリガンドという物質が、がん細胞の持つタンパク質に反応
→自動でがん細胞に到達することが可能となり、がん細胞内の細胞核付近に到達すると一気に薬を放出する
・臨床試験が始まっている段階
→60歳のがん患者、肝臓に転移し余命3ヶ月だったところ、投与後がんの9割が消え1年以上生存
・通常の抗癌剤に比べ、圧倒的に副作用が少ない

・がんの死亡率を劇的に下げる可能性があり、現在では治療の難しい脳腫瘍やすい臓がんも治せる日がくるかもしれない
・現在はナノマシンからの警告を、皮膚に埋め込まれたチップに情報化させ、医師に伝えるシステムを開発中

・将来ナノマシンを体内に送り込み、病気を治すことができるのではないか
→究極的にはナノマシンが常に体内を巡回し、病気の種類に応じて臨機応変に薬の成分が変化させ自動的に病気の芽を摘む、体内病院の実現を目指す

・ナノマシン研究の拠点として神奈川県川崎市に、「ナノ医療イノベーションセンター」が造られる
→近々完成予定

– ハーバード大学 マシュー・マイヤーソン教授
がんの全貌を遺伝子レベルで明らかにするプロジェクトリーダー
・そもそもがんとは、正常な細胞の遺伝子が突然変異することによって生まれるもの
・その突然変異のパターンを、スーパーコンピュータを利用し解析
→肝臓がんには15000種類のパターンが存在することが確認された

5.病気になる前に病気の芽を摘む、予知医療

– 予知のカギとなるビッグデータの収集方法
東京大学工学系研究科 染谷隆夫教授

・人体にまつわる膨大なデータを収集し、そこから病気の萌芽を見つける
・情報収集のテクノロジー「電子皮膚」を開発中
→5cm四方に144の電子部品が積め込まれている
→人の皮膚に貼ることで、血液中の酸素濃度から、筋肉の動きまで記録し、異常があれば人工知能により警告を出すという仕組みを考えている

– ビッグデータが可能にする死の予知(タルトゥ大学 エストニア)
・全国民の生まれてから死ぬまでの様々な医療情報をビッグデータとして収集している
・タルトゥ大学では国民の血液サンプルを分析
→5万2千人分の血液があらゆる情報とともに保存されている

・この中から、採血時は健康だったにもかかわらずほどなく病気を発症し、死亡した500人のデータを抽出し分析
→死因はバラバラだったにも関わらず、亡くなるまでの5年の間に、ある兆候が見られた
・死亡した人の共通点には、4つの血液成分が関係していることを発見
アルブミン(Alb)、VLDL-D、α1酸性糖たんぱく(Gp)、クエン酸塩(Cit)の4つの数値が高いことがわかった
→ただ、相関があるだけで、どんな因果関係をもっているかはわかっていない

・健康な内から死を予知できると、防ぐ手段は数多く存在する
・死が近づいている人間に、どのような処置をすればいいのか今後の研究で進めていく

まとめ

番組内では、将来的に平均寿命が100歳を超えると何度も放送されていました。寿命が延びること自体喜ばしいことかもしれませんが、それが世界にどのような影響を与えるのかという点も常に考えておかねば、とも感じました。

人が死なないことは社会にとって地球にとって良いことなのか。
ちなみに、2045年といえば世界人口がピークを迎える時期とも言われています。その数90億人。それに平均寿命100歳が合わさった社会って、もうどんな事態に備えればいいのやら。

長生きできてみんなハッピー、を心から言える社会を考えていかねばなりませんねー。あー頭沸く。