・工場などでの不良品検出
・自動運転
・無人決済コンビニ
・万引き検知
・ショッピングサイトのレコメンド機能
・医療現場の画像診断
・需要予測
・iPhoneのFaceID など

すでに様々な生活シーンやビジネス現場で、取り入れられているAI。利便性や生産性の向上、将来予測といった面で、今後もあらゆる場面で活用が見込まれます。

「見て見ぬ振りしてきたのに、もう無視できんかも。。」
「AIを活用してみたいけど、どこから始めれば。。」
「今後の仕事やキャリアってどう考えればいい?」

そんなみなさんの不安や悩みを解消し、「AIをビジネスで活用するって?」「AIが当たり前になったら、どう働けばいい?」という点を、地に足つけて理解できる1冊を見つけたのでご紹介します。
それが『いまこそ知りたいAIビジネス』です!

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AIで何ができる?仕事はどう変わる?がわかる1冊

『いまこそ知りたいAIビジネス』

第1章 ここがヘンだよ、日本のAIビジネス
第2章 AIビジネスの最先端を見てみよう
第3章 AIを導入したい企業がすべきこと
第4章 AIビジネスの課題とは
第5章 AI人材とこれからの日本
第6章 AI時代における私たちの働き方

著者は、Googleで機械学習のプロジェクトに従事し、現在はパロアルトインサイトという会社のCEO兼AIビジネスデザイナーとして活躍する石角友愛(いしずみともえ)氏です。

AIビジネスデザイナー?デザイン?と聞いてピンとくる方は、まだ少ないかもしれませんが、本書の中では次のように定義されています。

ひと言でいうと、AIビジネスとは、「AI技術を使って企業の課題を解決する方法を提案し、実装すること」。そして、AIビジネスデザインとは、「経営者や事業担当者とデータサイエンティストの間に立ち、AIビジネスを創造する仕事」である。

要は、経営側と技術側の橋渡し(翻訳)をして、より価値あるAI導入・活用を実現するためにコンサルティング等を行う仕事、存在です。

まさに「AIによってできた新しい仕事」をこなす石角氏ですが、本書ではその経験をもとに、AIビジネスの実例や今後の可能性、向き合い方について語ります。

第1章では、「AI=ロボット?」「AIが仕事を奪う?」といった誤解されがちなトピックに回答しつつ、「自分はAIと関係ない」「大企業だけのものでしょ」と考えている人に対しても、実は多くの人にとって(特に中小企業ほど)AI活用が重要になる点などを解説します。

では実際にどう重要なのかという点を、第2章で紹介される最先端のAIビジネスから読み解き、第3章では、それを自社で取り入れ推進していくには、といった具体的な導入の流れやポイントに言及します。
また、それに関連したAIビジネスの課題として、「判断の中立性」「プライバシー」「著作権」について触れ、当事者として何を考慮しておくべきか押さえるのが第4章。

そして、第5章と第6章で、AIにより変わりゆく社会とそれに対して私たち個人がどのようにチャンスとして捉え、飛躍していくべきかについてヒントを与えてくれます。

AIはあくまでツール。そのうえでビジネス活用するとは?

本書から学べることは、最先端のAIビジネス事例や今後の社会変化まで多数あります。

ただ、最も読めて良かったと個人的に感じたことは、「AIはツールでしかない」ということを冷静に認識できた点。
そしてツールと認識した上で、「今この瞬間から『自社で』『新規事業で』どのように活用するかを考え始めるだけでも、今後の競争優位性を穫れる可能性がある」という点です。

現状、AIのビジネス活用という面では、AIが人を代替しすべての仕事をこなしてしまう、という事例は少なく、そのほとんどが局所的な業務に対し、効率化や最適化を通じて、生産性向上や売上増をはかるといったものです。

本記事冒頭の例にもありますが、「ECのレコメンド機能」や「医療現場の画像診断」など、「商品を買う」「治療・処置を施す」といった活動の中の一部でしかありません。

字面にすると当たり前に思うかもしれませんが、AIについてまだよく知らない人から、ある程度興味もありわかっている人まで。
「AIをビジネスで活用する」という文脈においては、「AIがすべてを解決してくれる」ではなく、「あくまでツールとして、一部業務を人以上の精度で代替してくれる」と捉えた方がよいと感じました。

その上で、「AIはツールということはわかった!では早速そのツールを取り入れよう!」となってしまうのもまた違います。

AIの導入を考えるうえで最も重要なポイントについて話したい。それは、AIの導入は、「どのコピー機を導入するか、カタログから選ぶ」といった話とは根本的に違うということだ。なぜなら、AIを導入するということは、その企業が抱える課題と、その企業が持つデータ(これから集めるデータでも良い)を元に、どんな解決策があるかを考えることだからだ。このシステムをあそこにはめ込めばいいといった、単純な話ではない。

これはビジネスをする上で、当然のことではありますが、あくまで私たちがしたいことは、新たな価値創造や課題解決にあります。

単にAIを導入することが目的であれば、AIと名のつくツールを片っ端から入れればよいですが、「事業を推進するため」のAI導入であれば、まず自社の現状把握、課題抽出を行い、その対策を検討する中で、初めてAIが選択肢の1つにあがる。

こうした順序(文脈)で検討を進めていくことが、「AIをツール」として認識すること。そして、本当の意味でAIを使いこなす、導入を成功させる最重要のポイントになっていきます。

データがあればOK!ではない、、

データの山

では実際にAIで課題解決をしよう!となった際にまず出てくる問題が、データです。

AI(機械学習)という仕組みを使い、課題解決となる知見をアウトプットするには、その元となるデータが必要になります。
そのデータが、まず自社できちんと蓄積できているか。そして、蓄積されていたとしても、AIの分析に使えるかが問われます。

そこで石角氏は、どんなデータを集め、どんな整理(ラベル付け)をすべきかについて、あらかじめデータサイエンティストと話しながら行うことをおすすめしています。
自分たちで、こういうデータがあった方がいいかも、と話して見当違いなデータを集めるより、最初にある程度その知見のある人と組んで、AI分析に向けた設計、もしくは考え方をインストールしておくことで、後の工程が圧倒的に変わってきます。

これ自体は、直近AIを導入する予定のない方でも始められることですし、これを今この瞬間から取り組んでいるのとそうでいないのとでは、数年後、よりAIが一般化してきた際のビジネススピードとして、雲泥の差になっていきます。

そのためにも、まずデータサイエンティストと知り合いになっておいたり、そのための知識や土壌を整えておくことに、まず着手していきたいと感じます。

AIで成果を出していくための最初の1冊

本書は、SFとしてまたはAIの可能性といったコンテンツとして楽しむ、もしくは「AIすげえ!」を言いたい人向けではありません。
とにかくAIをビジネス活用していくために、マインドセットを変えていく、その取り組み方や推進の仕方を事例を通して学びたいという人にとってドンピシャな1冊です。

すでにその価値はわかっているけど、じゃあ次の一歩はどうすれば?という点を、第三者ではなく、当事者として考えたい方はぜひご覧いただき、「自社の業界・自身の専門×AI」について、より具体的に描き行動していくためのヒントを得てみてください。

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