自分のサイトを作る際、デザインやスタイリングで参考にしてきた黄金比。
画像の大きさやブロックの配置など、どうもしっくりこない時はとりあえず黄金比という具合に頼っていたのですが、ここにきて黄金比とは異なる白銀比なる存在を確認。
美術に疎い自分にとっては、全く知らなかったこの白銀比という存在に衝撃を受けつつも、サイト作りその他デザインに黄金比を取り入れている手前、調べない訳にはいかない。ということで、今回は黄金比と白銀比について取り上げます。
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西洋の黄金比、日本の白銀比
そもそも黄金比や白銀比というのは、美しいデザインを生み出すための美術的要素として見出されたものだそうで、発端は、紀元前古代ギリシャのピタゴラス学派といわれています。
ピタゴラスの定理でお馴染みピタゴラスさんが創設したこの一派は、数学的な諸科学(数学、幾何学、天文学など)に優れた業績を残したとされ、その一環で黄金比という考え方を生み出しました。
西洋では、古くからこの黄金比が好まれていることがわかっており、1876年ドイツの学者グスタフ・フェフィナーが行った調査で、縦横の比率を様々に変えた四角形の人気投票で、黄金比が1番に選ばれたとされています。
また、日本でも同様の調査が2001年に行われているのですが、日本では縦横の比が1:1.41となる白銀比が第1位、2位が1:1の正方形、そして3位に黄金比となったそうです。
西洋と日本でこうした違いが生じるのは実に興味深いのですが、まず以下で黄金比と白銀比についてまとめてみます。
黄金比 = 1:1.618
「神の比」「神聖比率」と呼ばれ、古代から「究極の美」を象徴する数字として用いられてきました。
主に歴史的建造物や美術品(絵画、彫刻など)、または自然界にもこの黄金比を取り入れた生物(オウムガイ、ひまわりの種など)が見られることは有名です。
– 使用例
パルテノン神殿、サグラダ・ファミリア、凱旋門
モナ・リザ、ミロのヴィーナス、Appleのロゴ・製品 など
白銀比 = 1:1.414
白銀比は別名「大和比」とも呼ばれ、比率は1:1.414で正確には1:√2と定められています。
国内の寺社建築や日本絵画、用紙サイズ(ISO 216規格、A4やA5など)に用いられ、特に興味深いのが人気マンガやアニメのキャラクターにもこの白銀比が利用されているという点です。
例えばドラえもんやアンパンマン、スヌーピー、トトロ、ハローキティーなどがその代表例であり、かわいい系のキャラクターでは総じてこの白銀比が採用されています。
– 使用例
法隆寺、五重塔
ノート、用紙サイズ
人気キャラクターのデザイン など
美的感覚のルーツや違いの原因は?
こうして黄金比と白銀比を比べると、西洋人が縦長のシャープさに美を感じていたのに対し、日本人は白銀比や正方形といった縦横の差が小さいものに美を感じていたことがわかります。
どちらかと言うと日本人は、「美」というより「かわいさ」や「親しみやすさ」を形に求めたような気もします。一体その感覚はどこからきたのか。
実際のところ、まだこうしたルーツや美的感覚の違いの理由ははっきりしていないようで、調べてもこれといった言説には突き当たりませんでした。
ただ個人的に、この美しさとかわいさを求める美的感覚の違いは、単純に西洋人と日本人の体格差?民族差?が原因となっている気がします。
狩猟民族として身体の大きさが求められた西洋人と、農耕民族として共同体の和を重んじた日本人。
身体の大きさ・力強さがあらゆる獲物を捕らえるメリットになったのに対し、共同体の中で上手く人間関係を構築するには愛嬌や親しみやすさがメリットとなった。
黄金比に比べ、ずんぐりむっくりとした体型の白銀比ですが、美しさにはない「かわいらしさ」や「愛嬌」「親しみやすさ」が、そうした日本古来の社会の中で、生活を円滑に営む要因になったと言えると思います。
西洋文化の入ってくる前の日本では、ふくよかな女性がモテていたという点も考慮すると、あながちこの説も悪くないのでは、と今書きながら自己満足に浸っているところです。
一仮説として、今度専門の方に会ったら是非聞いてみたいと思います。
まとめ
人間や人を理解するのに、こうした感性の違いや特徴を学ぶということは非常に有益だなぁと改めて感じました。
思考や考え方の違いは教育や宗教・思想にその理由を求められますが、感性に関してはこうした美術や芸術の分野を掘っていかないといけない、ということでさらに広く勉強していく必要性を感じています。
また、今回学んだ黄金比と白銀比ですが、実社会のシーンで役立てるならデザイン業務はもちろん、普段の資料作成(特にパワポ)などに活用できると思います。
簡単なデザインやスタイリングはよくあることですし、ちょっとした見た目でセンスは問われてしまうもの。
センス無いなぁ、と思われるより少しでも良いな、と感じさせる工夫は、こうしたデザインからのアプローチも1つだと思います。