この度、寿命延長効果が期待できる「メトホルミン」という薬が発表されました。この薬、実は最先端のテクノロジーで開発された新薬、という訳でなく、なんとこれまで糖尿病の治療に広く使用されていたものだそうです。
▶ 「寿命120歳」不老薬に現実味 実は安価な糖尿病薬 米で臨床試験許可 – SankeiBiz(サンケイビズ)
メトホルミンを使用した糖尿病患者はほかの患者に比べ、平均で8年間長く生きたことがわかったそうな。この発表を受け、世界初となるアンチエイジング薬の臨床試験が許可され、実用化に向け一気に動き出したようです。
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1日の投薬コスト8円 → 20年の長寿化を実現
細かい内容は記事を読んでいただき、ここでは簡単にその概略をあげておきます。
・老化防止が確認されたのは動物(マウス)への投与によるもの
→ 投与されたマウスは、加齢が遅れ寿命は40%延び、骨も丈夫になった
・定期的にメトホルミンを服用していた糖尿病患者について調べたところ、服用していなかった人より平均8年も長生きだった
・1日当たりの投薬コストは日本円で約8円
・メトホルミンは生物の細胞を頑丈にする酸素を増やす効果がある
→ 老化の原因は、細胞分裂の機能不全によって起こるため、それを効果的に防止することができる
→ また、細胞の異常、突然変異によって起こる病気にはガンやアルツハイマー病、パーキンソン病があり、それらへの効果も期待できる
・適切な投薬により、人間の老化を20年程度遅らせられる可能性がある
→ 研究者は、「100歳の人は寿命が120歳まで延び、70歳の人は50歳の若さと健康を手に入れられる」と主張
ということで、もういいことずくめの発表です。
特に高齢化先進国として、日本はただの長寿化ではなく、いかにして健康寿命を伸ばすかという点が大きな焦点となっています。その点、「メトホルミン」は、老化自体を20年遅らせることができそうだということで、かなりの朗報ではないでしょうか。
今年頭に放送された「NEXT WORLD」でも、未来の技術として長寿化の話題が出ていました。そこで日本人研究者 今井眞一郎教授によって発見された「NMN」という物質も、今回の「メトホルミン」と似たような特徴を持っていそうなため、どういった関係があるのか気になるところです。
どちらも細胞や遺伝子の活性化がポイントとなっているだけに、研究が進むにつれ双方で新たな発見が期待できそうです。
▶ 【NHKスペシャル】NEXT WORLD 第2回『寿命はどこまで延びるのか』まとめ
長寿化ヤッホーィ!と言いたいところだが、、
今後研究成果によっては、人の寿命が約20年伸びる社会が当たり前になってくることも考えられます。
2014年の日本人平均寿命は女性86.83歳、男性80.50歳(厚生労働省 調査)。これに+20をすると、全体の平均寿命でさえ100歳をゆうに超える社会が到来することになります。
人生をより長く楽しめる、といった反面、本当にどこまで健康で過ごせるかといった不安もついて回り、社会制度や高齢者へのサポート体制をどこまで充実させていくのか悩ましいところです。
社会保障費の増大は避けられず、生産年齢期にあたる働き盛りや若年層が割を食う社会では、それこそ未来がありません。
手放しで喜べないあたり、社会の現実を痛感しますが、それでも未来で高齢者となる今の自分たちが、将来下の世代に迷惑をかけないよう日々の選択をしていかねばなと感じます。