さて、NEXT WORLDもいよいよ最終回です。第5回『人間のフロンティアはどこまで広がるのか』では、火星に飛び出し生活する様が、近未来ドラマでも描かれていました。火星への移住計画や超高層ビルの建設など、人類は居住空間をどこに求め生活していくのか。
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第5回『人間のフロンティアはどこまで広がるのか』
1. 火星への移住とその現状
・火星移住計画-『Mars One』
・火星における生活環境
・移住へ向けたビジネス展開
2. 宇宙開発を引っ張る次世代ベンチャー
・スペースX代表 イーロン・マスク氏の挑戦
3. 高さ1km超えの超高層ビル居住空間
・空への挑戦を可能にする新テクノロジー
・超高層ビル建築のイノベーション『BIM』
・『ネクスト東京』構想
1.火星への移住とその現状
– NPO法人 Mars One(オランダ)
・民間の宇宙開発企業と連携しながら2025年を目指して火星移住計画を立てる
→今のところ一度行ったら帰ってこれない片道切符の旅
→火星では地球上の100倍以上の放射線など、住むにはまだ多くの危険や課題もある
・しかし、応募者は全体で140カ国20万人に上った
→すでに心理テストや身体検査が終了し、候補者は663人まで絞られた
→本当に火星に行く覚悟があるのか、今年中に最終候補25人が決まる
現在候補者に残っている小野綾子さん
・東北大学大学院で脳科学や心理学を学ぶ
→未踏の地へ挑む危険は承知の上、火星では心理カウンセリングとして携わりたい
→人間が行ける限界の地でできる限りのことができれば、もし何かあったとしても本望
→火星、その他惑星がどうなっているのか、もっと知りたい、この目で確かめたい、体験してみたい
・地球から火星までどんなに早くても半年はかかる
・探査機はアメリカ、ヨーロッパ、インドの計7機が到着している
・火星には大量の水があり、極わずかなら大気もある可能性も確認されている
・現在それら踏まえ、どこに着陸すれば生存しやすいか調査中
『Mars One』計画
・2020年居住環境の整備開始
・2025年最初の居住者が到着予定
– 火星での生活
・重力は地球の3分の1、太陽の光は届き、水もあると考えられている
・『Mars One』計画では、太陽光で発電し、その電気で水を分解し酸素を作る
・室内では宇宙服を来なくても地球と変わらない生活ができる
・建物内部には農園も設置し、食料を賄うことも可能
・放射線や重力の影響もあり、快適だとは言えない
→課題解決の技術開発が求められる
– 火星移住へ向けたビジネス
ロバート・ビゲロー氏 1万4千件以上の物件を持つラスベガスの不動産王
・狙うは宇宙の不動産王
・誰よりもいち早く、火星でのホテル事業を展開する予定
・宇宙に快適な居住施設を作る
→宇宙空間で施設を風船のように膨らませるアイデアで、運用試験が行われる予定
・横にした筒型の居住施設をどんどん繋げていくことで、居住スペースを確保していく
→1つの施設に大人6人が滞在可能
– NASA エイムズ研究センター(アメリカ カリフォルニア州)
火星で3Dプリンターを用いたモノづくりを目指す
・すでに無重力空間での課題(材料が浮いたり飛び出すなど)を克服
・国際宇宙ステーションで宇宙用の3Dプリンターの試験が始まっている
・その他、火星付近には希少資源(プラチナやチタンなど)を豊富に含んだ小惑星が無数にあるとされている
→希少資源を精製できる施設を用意し、その場で利用できる体制を作る
2.宇宙開発を引っ張る次世代ベンチャー
・これまで莫大なコストがかかることから国家事業としてのみ行われてきた宇宙開発
・しかし今ビリオネア(Google,amazonなどの創始者)達が莫大な資産と野心を持って宇宙事業に参入中
– スペースX社(アメリカ カリフォルニア州)
イーロン・マスク氏 総資産8,000億円
・ネット上の電子決済サービスを開発
・31歳時にスペースX社を設立、ベンチャー企業ではじめてロケット打ち上げに成功
・従業員は3,000人以上 IT関係者、NASA技術者などを集める
これまで数々のイノベーションを起こし、常識を覆してきた
・2014年5月新しいロケットのコックピットの模型を公開
→2人の操縦士と5人のクルーが乗り込み全ての操作はタッチパネルで行う
→2つの補助ロケットで宇宙空間に達し、メインのロケットで火星に向かう
人類を火星に届けるには、これまでにない巨大なパワーのロケットが必要
・これまでの最大出力を誇るのは、月に到着した際搭載していたロケット
→しかし火星へは、更に巨大なパワーが必要→莫大なコストをどうするか
・小型エンジンをいくつも組み合わせることでコストを解決、コストを100分の1へ削減
・安くて信頼性の高い小型エンジンを27機組み合わせることで、火星到達が実現
→課題は27機全てのエンジンを同時制御すること
→わずかでも出力が乱れると機体バランスを損なう恐れがある
・現状9機までのエンジン制御には成功
→今年中に27機同時制御の実験を行う
・また宇宙空間で切り離したエンジンを再利用する取り組みも成功
→更なるコストダウンが可能
– NASA
・オービタル・サイエンシズ社のロケット打ち上げ失敗や、スペースX社の試験飛行失敗など、民間企業の失敗はあるが、その後も積極的に投資を続ける
→NASAだけで宇宙開発をするには限界がある
→民間との協力が宇宙開発を加速させる
3.高さ1000m超えの超高層ビル居住空間
– 空への挑戦を可能にするテクノロジー
・陸空両用自動車の開発
・複数のプロペラで空に浮かぶ自家用ヘリ
→ガレージなどに待機させ、気軽に空を散歩するなどが可能
・世界最速のエレベーターを開発中 時速70km以上を目標
→3分足らずで富士山頂に着くスピード
→2016年、中国・広州に完成するビルに導入予定
・超高層ビルも世界中で建設中
→現在の最高高度828m、ドバイのブルジュ・ハリファ
→2年後にできるクウェート、ブルジュ・ムバラク・アル=カビールは高さ1001mを予定
– Building Information Modeling(通称BIM)が起こすイノベーション
現在、BIMという手法により超高層ビルの工期が一気に短縮されている
・建設を始める前に、設計図を元にコンピュータ上でビルを丸ごと組み立てる
・構造、配管、インテリア、外観をミリ単位で再現、つじつまが合わない部分を洗い出し、最も効率的な建設方法を見つけ出す
→大幅な工期の短縮とコストダウンが可能に
・2100年までかかると言われていたサグラダファミリア(スペイン、バルセロナ)の工期さえも一気に縮めている
→2026年完成予定
– 清水建設(日本)
BIMを活用したビッグプロジェクトを計画
・赤道付近の海上に、直径2kmの人工島を浮かべ、その上に超高層のビルを建設予定
・最大居住者数5万人を予定
・BIMの強みはコンピュータ上に蓄積されたデータを、工事でそのまま使うことが可能
→全自動での建設が可能になる、土台はBIMのデータをもとに巨大な3Dプリンターで製造
→建設は、BIMによって導き出された最適な工事方法によって、全てロボットが寸分の誤差無く積み上げていく
・地球温暖化で沈む島の代替地として2045年頃の完成を目指している
– ニューヨークの建築家 デビッド・マロー氏
東京でも高さ1000mを超す高層ビルの建設アイデアがねられている
・超高層ビル建設予定地は東京湾上
・街の中心に高さ1600mのビルがそびえる「ネクスト東京」プロジェクト
・1600mの超高層ビルは、台形の形をした建物を組み合わせる特殊な構造を予定
→湾上の強い風をしのぎ、光ある居住空間を演出
→50万人が暮らす街として、東京の過密を解消し、地震や災害に強い街を目指す
まとめ
火星移住、宇宙開発、超高層ビル建設。人の居住エリアを拡大するという、割とリアルで直近の問題を、なぜかこれまでフォーカスしてこなかったなぁと新鮮な気持ちになりました。人口減少が見込まれる日本でも、都市への一極集中が過熱してますし、近郊の開発やインフラに対し、新しい視点を持てたと思います。
っというかBIMすごい。生きてる内にサグラダファミリアの完成を拝めるなんて思ってなかったんで、これは観に行かんとって感じです。1882年着工で2026年完成予定だから、工期144年!それでも十分掛かってるけど、74年の前倒しハンパない。
ということで、NEXT WORLD最終回、以上です。