トヨタパートナーロボット事業
米2大学と連携し人工知能研究を進めると発表したトヨタ。「クルマが様々な状況下で物体や人の動きを認識、予測し、安全で適切な判断をするための技術に取り組んでいく」とのことでしたが、この技術は車だけでなくロボットにも応用できるはず。

トヨタ自体、目立たないながらもロボット事業を推進しており、2020年には中核事業の1つとなるよう開発を進めている段階です。
そこで今回は、そのロボット事業が現状どの程度のものか調べてみました。

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人の役に立つパートナーロボットの開発

toyota-hsr
トヨタの目指すロボットは、「人と共に、人の傍で、人の為に、人の様々な「動く」をサポートし、人の役に立つパートナーロボットの開発を進める」ことを目的としたものになります。介護・生活支援が主な領域。

コンセプト|トヨタ パートナーロボット

具体的には、モノを運んだり拾ったりする生活支援ロボットや、歩行が困難な人のための歩行支援ロボット、ベッドからの移動を楽にする移乗支援ロボットなどがあげられます。

実際に以下の動画からご覧ください。

トヨタが現在開発を進めているのは、主に1つ目の動画にあるHSR(Human Support Robot)です。
2012年に発表した旧式のコンセプトモデルを改良し、今年2015年に新型機を開発。機能的にはそこまで変わらないものの、量産化を見据えコストカットや安全性の向上、拡張機能を実現させています。

また、早期実用化に向けた具体的な取り組みも始まっており、複数の研究機関などと連携して技術開発を推進。「HSR開発コミュニティ」という組織を発足させ、加盟した機関には月々10万円で新型HSRを貸出し、更なる機能発展や技術開発を共に進めていく模様です。2016年4月より規模を拡大していくとのこと。

ちなみに2つ目の動画は2011年のものであり、歩行支援・移乗支援ロボットの映像です。
その後改良が進んでいるのかどうか、なかなか情報が出てこないため調べきれていませんが、ライバルであろうCYBERDYNEHONDA歩行アシストに比べると、遅れている感は否めません。

基本的にはHSRをメインに、プラットフォームとしての確立を目指していく方向だと考えられます。

今後の課題

legoロボット
新型機を投入したといえど、それが完成品でないことは明らかです。
今年5月に開かれた「第18回 国際福祉健康産業展 ウェルフェア2015」では、今後の課題を「ニーズの強さ」「それに応える技術レベル」「コスト」の3要素をいかにバランスさせるかをあげており、新分野での開発の難しさを語っています。
市場規模がまだ限られスケールメリットが活かせない分、コストカットなどを容易に行えないことが課題としてあげられています。

以前からロボット開発の課題は、技術が向上してもそれを実際の現場で使えるサイズ、費用に落とし込めるかが鍵となっているため、トヨタも例外無くその問題に向き合っていく形となります。

まとめ

以上、トヨタのロボット事業を簡単にさらってみました。
今後に向けて各種リソースや研究開発費(9,110億円/2014年度)が、どれほど振り分けられるか分かりませんが、現状、人工知能研究がロボット製品に活用できるのはまだ先の話になりそうだということがわかります。

ただ、独自開発を続けるのではなく、オープン性を確保し外部機関と連携した開発が行われる動きは評価できそうです。ソフトバンクやインテルのロボット開発がそうであるように、一企業としての枠を超えてロボット技術の早期発展を目指していくべきと思います。

当面は、まだ様子見といった段階ですが、来年4月を目処に動き出すトヨタのロボットプロジェクトを楽しみにしておきます。


[photo credit]
トヨタ | パートナーロボット
トヨタ自動車、生活支援ロボットの実用化に向けて研究機関等と技術開発を推進するコミュニティを発足 | トヨタグローバルニュースルーム