最近めっきり自己啓発本は読まなくなっていましたが、久しぶりに読んでみようかなと。
今回読んだ「僕が学んだゼロから始める世界の変え方」は、ウガンダやコンゴなどのアフリカ大陸で、地雷除去や子ども兵問題に取り組むNPO法人テラ・ルネッサンス代表鬼丸昌也氏が書いたものです。
鬼丸氏がアフリカでの社会問題に取り組む中で得た気付きや、資金・人脈ゼロからの状態でいかにして組織を起ち上げていったのかが書かれています。
人や世界に対する考え方に示唆を与えてくれると共に、何か新しいことにチャレンジできず一歩踏み出せない方にもオススメです。
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目次とコンテンツの概要
第1章 僕は、こうして「僕」になった
第2章 「なかなか動き出せない」という君へ
第3章 思いが「伝わる」ためのプレゼン&コミュニケーション術
第4章 思いを形にするための僕のワークスタイル
第5章 善きことは、カタツムリのはやさで進む
第1章では、鬼丸氏の幼少時代からNPO法人を起ち上げるまでの生い立ち。
第2章では、起ち上げてから活動する中で気づいた人の可能性を通し、どうしたら人は一歩踏み出せるのか、自分の能力を発揮できるのかについて。
第3章、子ども兵問題や貧困・紛争地域での活動を伝える著者が、講演などで培ったノウハウ関連。
第4章では、NPO法人を始める、または運営していく際の考え方やポイントを取り上げ、第5章でこれからの世界について、著者なりの理想・将来像が語られています。
やりたいことはあるけど、躊躇してなかなか踏み出せていないという方は、1・2章中心に。
社会起業やボランティア活動に興味ある方は4章あたりを参考にすると、有益な示唆を得ることができると思います。
本書の内容や活動からして、なぜウガンダ?なぜ子ども兵問題?と疑問は尽きませんが、今回はそんな鬼丸氏がどのように活動を始め、最初の一歩を踏み出すことができたのか、について焦点を当てていきます。
世界を変えるのは、たった1人のほんの小さな1歩から
世界を変えたい、世界にインパクトを残したい。そう思って行動し始めたものの、調べれば調べるほど課題が山積みなことを知り、どこから手を付けていいのかわからなくなり考えこむ。
そうこうしている内にその情熱は冷め、自分がなぜそれをしたかったのか見失い、やがて関心を無くしてしまう。
世界を変えたいという大仰なことでなくとも、何かを始めようとした人が途中で挫折してしまうプロセスには、以上の流れを含んでいるのではないでしょうか。
鬼丸氏は、世界に影響を与える活動をしながらも、その始まりは10人規模の至って小さな報告会からのスタートだったといいます。
大学時代に訪れたカンボジアの地雷原について、現地のことを1人でも多くの人に知ってほしい。そんな思いで帰国後報告会を開き、回を重ねるごとに支援者を増やし、法人の設立に至ったそうです。
シンプルな思いが小さな1歩を踏み出すキッカケとなり、内輪だろうが小規模だろうがとにかく始めてみることで次につなぐ。
実際鬼丸氏のケースは非常に特異なものであり、世の中全ての人が社会問題に興味があるわけではないし、地雷原を体験するという強烈なエピソードを持っている訳ではない。
ただ、カフェを開きたいでも起業したいでも、自分がそう思った経緯・原体験を熱のある内に誰かに共有し、次のアクションにつなげるというプロセスは決してできないことではありません。
自分も、学生時代よく自分のしたいこと・将来についてを仲間とよく語っていたのですが、20代後半となり社会を知ってつい落ち着いてしまったなぁとつくづく反省。
その歳で何言ってんだ、ちゃんと働け、と言われたり、まだそんなことしてるのかと嘲笑される怖さから周りの視線を気にしてしまう。
自分は絶対そうならない!と誓っていたのに、結果このザマということで社会人としてより、一人間としての思いや気持ちを大事にし、それを行動につなげていきたいなと切に思います。
1歩踏み出せない方に、よく言われていることかもしれませんが鬼丸氏も同様、以下の言葉を残しています。
『お金がたまったら』『仲間が集まったら』『仕事が一段落ついたら』と、条件が整うのを待っていては、いつまでたっても動けない。『やる』と決意するから、条件が整うのだと僕は思う。
準備や環境を整えることは大事!社会人としては当然!
では、起業家・チャレンジャーとしての当然を、みなさんは知っていますか?
そんなこと本書には書かれていませんが、自分はそう受け取った言葉でもあります。社会人の延長で起業家やチャレンジャーを考えていたら、一生そこには到達しないのだろうなと。
自身の常識や考え方をアップデートしていき、行動している人達の思考をいかにトレースし自分のものにできるか。
そんなこと言ってもという前に、どうしてそう考えることができるのかを考えてみる。考えながら自分にも当てはめ検討し「やる」という決意につなげる。
でもできるかどうか自信がない。そんな方に鬼丸氏はこう言います。
自信なんて、なくてもいい。
自信や勇気は、必要になったら湧いてくる。
何かをやり始めると、自信がなくてもやらざるを得ない状況が必ずやってきます。
自信のあるなしでやるやらないを決める考え方ではなく、どうしたらできるのかを本気で考える。
本気になっていろんな体験や感情を味わっている時、僕らは何かを判断したり裁いたりはしていない。ただ、体験しているだけだ。だから、そこには『失敗』も『成功』もない。その瞬間を本気で味わったとき、そして、自分に本気になったときに、恐れや不安を乗り越えられるのではないだろうか。その繰り返しの中から、自信が生まれてくるのではないかと思う。
何かがあるから、何かができる。準備が済むまで、何もできない。
そうではないのだ、ということを自身の経験を通し証明してくれています。
この他にも、紹介しきれない有益な言葉が多く含まれ、一歩をなかなか踏み出せない方の背中を強く押してくれることは間違いありません。
また、自分も含め変なプライドや自尊心が邪魔をして動けないという方には以下の言葉も。
自分にとっての第一歩なのだから、他人と比較しなくてもいい。比較する必要があるとしたら、それは、自分の目標や夢、取り組もうとしている課題との距離だ。
そもそもフォーカスするポイントが違う、ということが嫌ほどわかる言葉です。
自分を大事にすることよりも、今すべきことに集中する。
自分は別に笑われてもいいと思えるくらい、本当に思いを寄せることのできる活動を見つけ、そのために行動する。
それを見つけるのがまた難しいと思われるかもしれませんが、その見つけ方についても2章でちゃんと取り上げられています。
最近丸くなってしまったなぁ、自分はこんなことしたかったなぁ、どこにニーズがあるかわからない、けれど自分はこれをしたいという方は、是非本書を手に取ってみてください。
【公式HP】
▶ 認定NPO法人テラ・ルネッサンス(平和教育・地雷・小型武器・子ども兵) : https://www.terra-r.jp/