ベネデッタ・ベルティ: ISISのような武装集団が勢力を伸ばす驚くべき理由 | TED Talk | TED.com
ISISやハマスなどの武装集団は、一体どこから資金を得ているのか。
以前からとても不思議に思っていた事でしたが、今回のTED Talksでやっと理解できました。

政策分析家のベネデッタ・ベルティ氏が明らかにするその資金調達方法は、なるほどな、と思う反面どれだけ複雑で入り組んだ問題なのかと改めて実感させられる内容です。

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弱体化した国家の隙間を埋める、という意外なまでの正攻法

警備、ガードマン
結論として各武装集団は、ただどこかから資金を得ているのでなく、弱体化した国家が提供し切れていない国内のサービスに手を伸ばし、そこでビジネスを通して得た利益を活動資金に充てているというものです。

正直拍子抜けというか、そんなシンプルで当然で当たり前の正攻法で資金を得ていたのかと驚くほかありません。

政権運営や統制が上手くとれていない未熟な体制の隙をつき、自分たちの勢力を合法的なビジネス面で拡大していく。

そして、その提供しているサービスは建築や警備などにとどまらず、なんと学校建設や病院経営、職業訓練プログラムや小規模ローンの提供といった社会福祉事業にまで展開。
主に「安全」と「警護」をメインとした事業領域でサービスを提供し、そこから人々の信頼や人気を勝ち取ることを目的としているのです。
実際2006年にハマスがパレスチナの選挙を勝ち抜いたのは、こうした背景があったからとのこと。

正直ゾッとするような話ですが、そこまで用意周到に進めているからこそ、こうした勢力拡大に成功しているのだなと納得。国家が与えてくれないものを、武装集団が提供することで住民の生活が円滑に成り立つ。

事態がどれだけ複雑で入り組んだものなのか、これまでの理解が全く上辺だけのものであったことに気付かされます。

武装集団の制圧だけではあくまで一部の掃討に過ぎず、根こそぎ排除してしまうと今度はサービスを利用していた住人が不利益を被る。
どっちつかずの状況であり対処は困難を極めると考えられますが、それでもこうした武装集団への理解が解決の糸口につながるとベルティ氏は言います。

当面政府側が対抗するには、非軍事面での投資を増やしていくことが挙げられ、統治の空白を埋めることこそが持続可能なアプローチを可能にし、和解と平和をもたらすと考えられています。

思ったこと・疑問点など

動画の中では触れられていなかったのですが、サービスを提供する武装グループ関連企業?はそれを明らかにして行っているのか、それとも伏せて運営しているのか、それとも両方なのか疑問に残りました。

明らかにして行えば、確かに武装グループの知名度や人気を得ることができます。ただ、反政府組織が平然とビジネスを行い規模拡大を許されている環境とは一体どういう事なのか?という点は気になるところです。

それほど国内は疲弊し、サービスを提供してくれるならなんでも良いという状況なのか。企業はあくまで企業であり、雇用や地域を(表面上)守っているのだからそれで得た利益は何に使われても良い、ということなのか。
確かに、政府が一方的に規制したらビジネスや信教の自由における権利侵害などに発展しそうな気もしますし、そもそも規制したくても、軍事力を握られていれば、しようとした瞬間消されてしまう可能性も否めません。

考えれば考えるほど難解な問題ですが、他人事と考えず折りに触れ少しずつでも理解していければと思います。


photo credit: TEDxKL 2013 32 via photopin (license)