国家の盛衰
世界各地での独立問題だったり、ISや中国、北朝鮮のやりたい放題外交だったりと、何かと国際情勢に気がいくこの頃。
改めて国ってなんだ?国家ってどう成り立ってるの?って部分を学んでおきたいと思い、今回は「国家の盛衰」という本を読んでみました。

少しは国家の見方を学べたはず。

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目次とコンテンツの概要

国家の盛衰 - 目次

序章 国家繁栄と覇権の条件
第1章 ローマ – 世界帝国の典型
第2章 スペイン、オランダ – 海上覇権と貿易
第3章 イギリス – 工業技術による産業立国
第4章 アメリカ – 実験国家、人工国家の活力
第5章 中国 – 覇権国家になりうるか
第6章 日本 – これから歩むべき道

本書は、古代から現代までの歴史を振り返り、様々な国家の盛衰を検証しながら、最終的に今後の日本が採るべき道を探る、というテーマで進んでいきます。
2人の専門家(渡部昇一氏、本村凌二氏)のやり取りを通じて、国家の興亡を「軍事力」「経済力」「国家・政治体制」「資源エネルギー」「国民の精神性」「文化・文明」といった観点から浮き彫りにしていく流れ。

序章にて、渡部氏が覇権国家を「同じ文明圏における最強の国」と定義するのに対し、本村氏は「一義的に定義できないが、それを支える源泉は『軍事力』と『経済力』である」と書かれているように、一筋縄でなく多角的な視点で互いの意見を論じ合います。

歴史的事例が異なる視点から語られることで、より立体的に理解が得られ、国家に対する認識も深まります。国家の興亡には、あらゆる要素が複合的に絡み合っているため、これが1番の原因だ、と断定はしていないものの、どんな要素が重要でどうバランスしているかの見方は学べるはずです。

もちろん、この本は歴史を学ぶだけでなく、国家運営、国の舵取りをどう学べばいいかが書かれているため、歴史書ではなく自身を国家の長として見立てて読むと、より内容が入りやすいように感じます。

ボリュームは312ページと並の分量で、各章国別で扱われるているため、自分の興味ある国・地域から読み始めることも可能です。

国家の盛衰と決して切り離せない「軍事力」

国家の成立・衰退を、「軍事力」「経済力」「国家・政治体制」「資源エネルギー」「国民の精神性」「文化・文明」といった観点から迫る本書ですが、どう考えてもこれ無しでは成り立たないという要素があります。それが「軍事力」です。

綺麗事や崇高な理念だけでは決して国は興らず、悲惨な戦争や血で血を洗う残酷な過去を経て成立してきたのが、国でありこの世界だということを改めて実感させられました。
軍事力を行使し他国から富を吸い上げ、自国民を養いながら経済を成長させる。そして、余裕が出てくると人々は文化(娯楽)や文明を生み出し、享楽的になりながら国家に無関心となり、政治腐敗が進んでいく。

そして最後は、政府や国の中枢への求心力が弱まり、統率を取れなくなった軍隊が他国からの侵攻を防げず滅亡する。

はじまりが「軍事力」であれば、終わりも「軍事力」によって大きく左右される。

現代では、膨れ上がる国防費に対し、もっと削減して世界平和のために有効利用しろ、と批判が集まっています。もちろんそれは正論であり、その国防費を国際平和維持に役立てられれば、多くの命が救えるはずです。

ですが、正論だけで物事が回らないのは周知の事実。先にもあげたISや中国、北朝鮮がこちらの論理で動いてくれればよしですが、そんなことお構いなしで動く彼らを、どうして無防備な状態で迎えられるのか。

酒を酌み交わして仲良くなる、なんて自分に酔っているだけの戯れ言でしかなく、現実的にそうせざるを得ないことを歴史が証明していると学ばねばいけないなと。

その上で、「軍事力」とは別の方法で国を治め、周辺諸国との軋轢を減らしていく術も見出しながら、21世紀を渡り歩かねばならない。そういった意味でも、本書で提示されているその他の視点は、国家を考える上で最初の足掛けになると思います。

まとめ

今回は国家運営の話でしたが、個人的にはこれを会社組織やビジネスに置き換え、「軍事力」を「営業力」や「商品・研究開発力」とし、資本主義という世界で捉えてみると、色々つながりが見えてきそうだとも思いました。

国を構成し成り立たせる要素を洗い出しながら、それがどう関係し合い盛衰につながっていくのか、という視点は、自社の強みや弱み、置かれているポジションを考える上で有益な示唆を与えてくれるのではと。

ただ歴史を学びたいから学ぶというスタンス以外にも、その知識をどう活かすか・どうつなげるのかといった点が教養として試されるポイントであるため、読書しながら妄想しながら知識を広げていけたらと思います。