池上彰の教養のススメ

教養をテーマに普段書いているものの、定期的に教養それ自体について考えることも必要だよなと。思いついたことベースで書くのもいいけど、たまには教養を振り返ろうということで、今回は池上彰さんの書籍を拝見。

週刊こどもニュースを筆頭に、あらゆるジャンルのニュースや世の仕組みを解説する池上さんは、教養界?におけるレジェンド。これまで読もうと思いつつ、読んだら答えを知ってしまう気がしてあえて避けていた経緯があります。

ただそろそろ読んでもいいかと。池上さんの意見を参考に、更に自身の考えを深めていく方向性でいきたいと思います。

スポンサードリンク

池上さんにとって教養を身につけるとは

早速ですが、本のカバー裏に早速刺さる言葉を発見。

教養を身につけるとは、歴史や文学や哲学や心理学や芸術や生物学や数学や物理学やさまざま分野の基礎的な知の体系を学ぶことで、世界を知り、自然を知り、人を知ることです。

はいこれキター!と思わずテンション急上昇。

というのも、自身かねてより教養ではないですが、大学という場の持つ意味や機能について考えていたことがあります。その時にふと思ったのが「大学は、世界を知り、社会を知り、人を知った上で自分の将来を考え一歩を踏み出す場だよなぁ」というもの。

自分が考えていた大学の機能を実現するには、やはり教養を学ぶことが最適であると。というか教養ドンピシャじゃないかと。
教養科目の解体や、国立大学の文系学部廃止など、これまでも現在も世の中からの要請だとし、軽んじられているものこそ実は必要なのではないかと。

ただそう思いつつ、これまで今ひとつ裏付けとなる根拠や話題を提供できていない現状に、歯がゆさを感じていましたが、方向性として恐らく間違ってはいないだろうなと再確認。

今後も教養を切り口に、役に立つ情報を提供していきたいと思います。

教養とは何か、12の意味

write-down
ここでもっと具体的に、教養について池上さんがどう語っているかについて触れていきます。そもそも教養とはなにか、学ぶとどんないいことがあるのか、どう学べばいいのか、などを以下12の切り口から説明しています。

1. 与えられた前提を疑う能力である。
2. 新しいルールを創造できる能力である。
3. あらゆる変化に対応するための能力である。で、生物学。
4. すぐに役に立たないから一生役に立つ。ジョブズとカリグラフィーとアップルだって。
5. 専門外の分野を学ぶことから始まる。
6. 四の五の言わずに本を沢山読む。
7. 「人間を学ぶ」には「歴史」を学べ。
8. 教養とは、つまるところ「人を知る」ということです。
9. 目先の「合理主義」は、非合理な結果を招く。
10. 教養がない「街」には、人がこない。
11. 理系の諸君、教養を学ぶのはテクノロジーを担う君たちの責務です。
12. 本当の教養は、ムダなものである。

中身とリンクしているため、この項目だけでは意味のわからないものもあると思います。3番目の「で、生物学。」のところとか特に意味不明で、読んでみてやっと生物進化における適者生存が、人の生きる社会・経済に大きく関わっていることがわかります。

また、情報が溢れ正しい答えの無い現代において、何が問題で何が答えなのかをまず見分け、判断し自分で決断するためのヒントを与えてくれること。優秀な人材に限って与えられた範囲内でしか能力を発揮できず、ルールを創る側にまわれないこと、など。
教養を養えば得られるチャンスや生き方を、教養を教える教授陣との対談で明らかにしていきます。

公共事業の対立問題を哲学の専門家が見事に解決させたり、オウム事件や靖国問題を宗教学者が紐解いたりと、教養がどれだけ現実の問題を解決するかわかりやすくエピソードに沿って理解できるようになっています。

池上さん自身、現在も東京工業大学のリベラルアーツセンターにて理系の学生に教養を教えており、その中でも特に繰り返し話されていることがこちら。

現代史は君たちにとって、ただの余分な知識ではない。将来技術の現場で陣頭指揮を取る君たちにとって、現代史を知り、社会における技術の重さを知ることは、責務だ。

3.11に起きた福島第一原発事故を受け、自分達が将来創り出すモノ・テクノロジーが、社会にとってどんな意味を持つのか考えさせる言葉です。
新しい技術はいいことばかりなのか、もしかしたらそれに伴う代償はないのか。図面や数字との睨めっこだけでは見えてこない、現実世界における影響をしっかり考慮し向き合わねばならない、それは「責務だ」とまで言っています。

理系だけでなく、文系ももちろん新しい技術やテクノロジーについて最低限知っておく必要もあるでしょう。甘い話や響きのいい言葉の裏にある真実を突き止めるのは、文系が目を光らせていればこそです。

課題先進国と呼ばれ成熟した日本を建て直すには、こうした文理をつなげシナジー(相乗効果)を生むための潤滑油=教養が絶対必要となります。

まとめ

教養の必要性については、これまでも考えてはきましたが、それが発揮されている状況・ケースをどうしても掴みきれずにいました。
ただ、今回この書籍を通じ、教養の活かしどころやタイミングといったものが徐々にクリアになってきたため、改めてその価値を見出せる場面にフォーカスしていきたいと思います。

教養の有益性を少しでも多くの方にわかっていただけるよう、更に勉強して参りますm(_ _)m