就活や転職活動などで必ず行う自己分析。
なんとなく自分はこうだよな、とわかっていても、本当にそうなのかと自信を持てなかったり、曖昧な感じで終わってしまうことも多々あります。

私も30代に突入し、この先のキャリアを考えつつ、自分の強みや特徴って改めてなんだろうと考えていたところ、ちょうどいいツールとして「FFS理論(診断)」というものがあったのでご紹介します。
自分の強みや弱み、それが発揮される条件等々、なかなか腑に落ちて参考になりました。

自己理解と他者理解を促すツール

まずFFS理論ですが、以下の通り説明されています。

FFS(Five Factors & Stress)理論とは、「ストレスと性格」の研究において開発されたものです。人が恣意的、無意識的に考え、行動するパターンを5因子で計量し、ストレス値においてポジティブな反応か、ネガティブな反応か分析します。その結果、その人が保有している潜在的な強みが客観的に分かります。
参考:FFS理論について ヒューマンロジック研究所

いくつかの質問に答えていき、その結果、5つの因子の内、高い数値やその順番、各数値の差が、その人の個性に大きく関わってくるというもの。
基本的には自己理解を深めたり、他者との違いを明らかにしながら、よりよいコミュニケーションをはかるために用いられます。日本でも、ソニーやホンダ、LINEなどがチームマネジメントや組織編成に活用するために導入しているそうです。
(詳しくは、上記ヒューマンロジック研究所の動画、もしくはこちらの記事をご覧ください)

5つの因子

では、人の個性に関わる5つの因子ってどういうもの?という部分を、簡単にですが以下まとめてみます。
(上記紹介している『宇宙兄弟とFFS理論が教えてくれる あなたの知らないあなたの強み【自己診断ID付き】』参照)

A:凝縮性(自らの考えを固定・強化させようとする力)
→こだわりの強さがあり、自分の中に明確な価値基準を作りやすい。ブレずに、持論を主張する。
B:受容性(外部を受け容れようとする力)
→相手のためを思い、柔軟に相手を受け容れる。関係する周囲の人の面倒を見て、その人が喜んだり、その人から感謝されることがうれしい。
C:弁別性(相反する二律にはっきりと分けようとする力)
→情報に基づいて、曖昧にせず白か黒かはっきりと分ける。合理的で無駄なく進めようとする。自分の都合で判断することもある。
D:拡散性(飛び散っていこうとする力)
→情動的で、好きなこと、興味のあることに対して、すぐに飛び出そうとする。反面、興味を失うと一気に冷める。このため行動が脈絡なく見える。
E:保全性(維持するために工夫改善していく力)
→身近なところから目標を立てて、確実に進めていく。成功体験をベースに体系的な知識や経験を得ることで、成長しようとする。

となります。5つの因子のうち、「D:拡散性」と「E:保全性」は先天的なものとされ、日本人の割合でみると「拡散性:35% 保全性:65%」と言われています。また、あとの3つは後天的な影響が大きいとし、「A:凝縮性」と「B:受容性」の比較では、「凝縮性:20% 受容性:80%」という結果になっているそうです。

基本的に、各因子の説明を読むと分かる通り、どの要素が1番優れていて、どの数値が高ければいい、というものでは決してなく、その人の個性としてどの因子が高いか、その因子が高い人はこういう特徴や強みがあるということをみていきます。

保全性の強みを生かした戦い方

実際に診断してみた結果、私の数値は「A:12 B:12 C:15 D:11 E:13」という結果に。
AとBが同値だった場合は、Aがやや優先されるということで、私は「C:弁別性」「E:保全性」(「A:凝縮性」)が高いタイプに分類されました。

まず「C:弁別性」ですが、これは上記したようにYes,Noをはっきりさせるタイプで、色々な数値や情報を元に合理的に考え行動します。
確かに現状は、仕事上、やるべきことが多い中で優先順位を決めてどんどんこなしていくには、ある程度割り切って客観的なデータを元に判断をしていくしかないと感じており、それがこの結果に反映されたのかなと。

実際に毎回合理的な判断を下せているかはともかく、そうした姿勢をもっていることは最低限必要だと感じつつも、こうした性質を持つ人は、周囲から見てやや冷たく(ドライに)感じられるそうなので、その塩梅は意識しておきたいと思います。

次に「E:保全性」ですが、日本人にも多いタイプとして「最初の一歩が踏み出せない」「準備ばかりで行動できない」などの、あーなんとなくわかるという特性を持った因子だと説明されています。

やもすると、周りからはやる気がない、言い訳が多いなど取られてしまうタイプですが、本書にもある通り、別に保全性の高い人はやる気がないのではなく、慎重すぎるあまりすぐに行動に結びつきにくいだけだといいます。
また、それは自分の置かれている環境ややり方次第で、どうにでも克服し行動に移すことができるようになるため、その特性を踏まえて環境を整えたり、振る舞ったりできるかが重要としています。

また、「保全性」の人の戦い方として参考になったのが、以下の記述です。

「保全性」の高い人は、やみくもに情報を集めるのではなく、誰にも負けない専門領域を持つことを目指すとよいでしょう。その知識の及ぶ範囲でなら、自信を持って戦えるはずです。〜(中略)〜。不安を感じたら、頭の中を自分の専門領域で使える情報で埋めて徹底的に理論武装するのがいいでしょう。「ここまで調べつくした」「インデックスも付いているから、すぐに対応できる」「自分が一番詳しい」と思わざるを得ない状態まで、自分を追い込むのです。

「保全性」の高い人は、コツコツと積み上げることで力を発揮します。従って、守備範囲を「浅く広く」するよりも、専門領域を見極めて、その範囲内での知識を積み上げていく学習方法が向いています。「この領域では誰にも負けない」と言えるくらいの豊富な知識量が、自信につながります。

正直、業務範囲が広く何でも屋さんになってしまっていた現状に対し、漠然と感じていた不安はここにあったのかと突きつけられた気がしました。
要は、できる仕事は日に日に増えていくものの、自分の中で軸となるスキルや能力を今ひとつ磨けていない状況に、自分自身の価値を見いだせずにいた節があります。

プロダクトを成長させるために、できることは何でもやる。そう意気込んでいながらも、日々、雑務や作業といった泥臭い仕事をしていると、ふと自分の中に今何が積み上がっているのだろうと不安に感じ、その不安の元はこうした「保全性」という自分を表す性質の1つからきていたものだと自覚できました。

ただ、今回こうして自覚できたということは、その対策をとることが可能になったということでもあります。
まず今後戦っていくために、改めてこれだと言える専門領域を決めて、その道のプロを目指すこと。
そして、その専門領域をもって多様な業務を関連付けながら体系化し、どうしても専門外であることなどは、きちんと他の人に任せるという選択肢をまず持ち、意思決定していこうと思います。

これだけでも随分、自分の資質や今後の方向性を見出すことができたなと、読んでいてとてもためになりました。
特に、こうしたパーソナルな部分は会社でのフィードバック以外では、なかなか得ることは難しいですし、こうしたインプットを通じて、客観的に自分の様々な一面を言語化してくれている部分はとても助かりました。

他にも、本書では、タイプ別上司と部下の関係性構築や目指すべきリーダー像なども書かれており、自分の環境や立ち位置の移り変わりでその都度参考にできるなとも感じました。
ちなみに、ここまで全く触れていませんでしたが、本書は宇宙兄弟の中に出てくる登場人物を例に出し、その人となりや言動、関係性を解説しているため、それもそれで非常に読みやすくわかりやすかったです。

うんうん悩んで自分探しの旅ごっこする前に… 「FFS診断」試してみてはいかがでしょうか?

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