これまで世界史に関する本を何冊か読んできました、が、今更ながらの原点回帰です。
はじめからなぜこれを読まなかったのかというと、ひとえに見栄を張っていただけでして、高校の教科書を改めてやる必要ないだろうと。
ただ実際そんなことはなく、読んでみて忘れていた事・勘違いしていた事が次から次へと出てくる出てくる。
これまで何をしてきた自分、と思いつつ通読して改めて学んだこと、感じたことをメモっておきます。
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目次とコンテンツの概要
第 Ⅰ 部 古代
第1章 古代の世界
第 Ⅱ 部 中世
第2章 東アジアの世界
第3章 イスラームの世界
第4章 ヨーロッパ世界
第 Ⅲ 部 近代
第5章 近代ヨーロッパの形成
第6章 欧米近代社会の確立
第7章 アジアの変動
第 Ⅳ 部 現代
第8章 帝国主義の始まりと第一次世界大戦
第9章 ヴェルサイユ体制と第二次世界大戦
第10章 現代の世界
計4部10章310ページ(巻末年表含む)から成る本書(教科書)。
古代(前3000年頃〜/34p)、中世(150年頃〜/64p)、近代(1400年頃〜/86p)、現代(1800年頃〜/76p)というおおよその時代区分(+ページ数)となっており、各部ごとに主要な出来事を地域別(ヨーロッパ、アメリカ、アジア、アフリカ)に取り上げ、当時の流れを追っていきます。
「もういちど読む」ということで、内容は高校生が使っている教科書とは異なり、社会人やもう一度勉強したいという一般層向けに編集し直されている点が特徴です。
教科書をイメージして読み進めると、若干違和感があるのはこのせい。あくまで一度勉強した人がもう一度復習用に読み直すことをオススメします。
実際読んでみると、各時代の出来事が簡潔にまとめられどんどん読み進められるものの、簡潔で読みやすいがために基礎的な用語の解説が飛ばされていたり、イマイチ時代背景を捉えにくいという場面がありました。
また、世界史の常ということもありますが、ヨーロッパ(+アメリカ)に関する記述が多く、アジア・アフリカに至っては簡単な時代描写と文化に関する説明がなされただけで、あとはヨーロッパを語る上で必要な部分のみ触れられる程度でした。
世界史をガッツリ網羅したいという方には、少し物足りない印象。
もちろん限られた中で歴史を網羅することは難しいのですが、かえって本書ではなく高校生の使う教科書版の「山川世界史B」を読んだほうが基礎からきっちり学べる気はします。
ちなみに教科書版は、近くの教科書取扱い書店に行けば非課税で買うことができるため、価格も安く抑えることができます。
ヨーロッパ史中心の世界史復習や辞書的用途にオススメ
使い方としては、内容がヨーロッパ史に傾いているため、それを中心とした世界史の流れや変遷を復習する際に用いるとベストです。
時代背景が掴みづらい部分は、巻末に載っている歴史年表を確認しながら、位置関係を把握してみてください。世界史アレルギーの方はわかると思いますが、曖昧なまま読み進めると、王族名や制度名・国名など出てくる横文字に踊らされ続けるため、1章ずつでも理解しながら進めるといいと思います。
一方で、ある程度流し読みしてどこに何が書いてあるか確認できれば、あとは折にふれて辞書、または参考書扱いで用いる方法もあります。
歴史小説やドラマ、時代劇を観る際、少しでも時代背景・前後関係を予習しておきたいという場合に、サラッと該当箇所を読んでおけば、他の作品でもより深く楽しむことができます。
まとめ
ヨーロッパ史中心ではありましたが、基礎に不安のあった自分にとっては学ぶことの多い本だったなぁと。
現代の問題としてみられるイスラム国やシリア難民の問題が、イギリスのマズイ外交から始まったこと。産業革命や都市部の発達が、必ずしも意図したものでなく、伝染病や戦争によって助長され実現したこと、など。
時代のうねりやダイナミズムの中で人は翻弄され、励まされ、同じ過ちを繰り返しながら技術発展や英雄の誕生によって少しずつ歩を進めてきた。そんな人類のこれまでを、全体の流れとして読み取れた思います。
まだ読み取れていない部分については、今後、歴史物の書物や資料を通して穴埋め的にカバーしていければという感じです。