もはや佐野氏デザインの、ということさえはばかられる事態となった東京オリンピックエンブレム問題。次から次へと佐野氏考案の酷似デザインがネット上を駆け巡っていますが、少しは擁護派の意見もみておきたいと探していると以下のようなページを発見。
▶【佐野氏エンブレムのどこが良いか】 – Togetterまとめ
佐野氏本人への擁護はさすがにできない。けれど、デザイン自体は良いものではないのか?という意見をまとめたものです。
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デザインだけでは選べない商業利用の難しさ
デザインというと、やはりそれを見た際の印象やイメージがぴったりのもの・かっこいいものが相応しいと思われがちです。
ですが、殊オリンピックのエンブレムとなると、デザインとして優れているだけでは通用しない重大な問題が持ち上がってきます。
それが、そのエンブレムを商業利用する際の難しさです。
これまでオリンピックは、スポーツの祭典として世界中で開催されてきました。どの国も開催国を巡って候補地アピールをしてきましたが、社会情勢の変化によりテロの標的とされたり、モスクワオリンピックでのボイコット騒ぎなどで一気に候補地が減ってしまった過去があります。
そうした背景から、オリンピック開催地になるといかに経済効果を生み出せるのか、旨味があるかという部分がアピールとなり、なんとか開催地を確保してきたのです。
オリンピックなんだから、そこまでしなくてもいいんじゃないの?という声もありますが、そうした経緯からエンブレム1つとっても商用として耐え得るクオリティーが求められるのです。
商用デザインに必要な2つの要素とは
では、今回ベルギー劇場をモチーフにしたデザインはどうなのか。
上画像は、今回のものとは別にこんなデザインはどうか?と他の方がデザインorモチーフにしたエンブレムを並べた画像です。
パッと見どれも華やかなデザインで、オリンピックに相応しい豪華さを持ち合わせていると感じます。
では、以下の画像ではどうか。
こちらは先ほどの画像を白黒にしたものです。
これらの画像から見て取れるのは、エンブレムが商用として流通した際、どういった形で広まるのかを問題としています。
大量に生産された製品に印刷されたり、新聞やその他誌面で白黒で載せられる際、それがちゃんとオリンピックのエンブレムとして認識できるかどうか。
大きく印刷されるポスターや掲示物であればまだしも、流通させた先の媒体がどんなモノなのかによって、エンブレムがわからなくなってしまう、目立たないとなるとデザインした意味が無くなってしまうのです。
商用デザインとして重要な視点、それが以下の2点
・白黒にした際、印象の変化をどれほど少なくできるか
・小さいサイズにしても、デザインが潰れないで保てるか
デザイナーやそれを仕事にしている人でないと気づきにくいポイントであり、けれど流通させるには現実問題として重要な視点です。
デザインを見てどれがいいかと品定めするのは簡単ですが、その後の展開をトータルで検討した場合、ベルモチ(ベルギー劇場をモチーフにした)エンブレムは捨てたものではないということでした。
今回は佐野氏の仕事ぶりや人間関係が問題となり、中々デザインとしてどうかという視点で見れるものではありませんが、今後こうしたデザインを見る際の参考になればと思います。
ちなみに、エンブレムが廃止となってから多くの非公式エンブレムが以下のInstagramページから見ることができます。
<SAZAE Bot / Tokyo2020さん(@sazaef) • Instagram写真と動画>
商用込みで相応しいものがあるか、是非覗いてみてください。
[photo credit]
Olivier Debie @OliDebie via twitter
Podczas panelu dyskusyjnego via photopin (license)