みすず学苑サイトトップ

突然ですがみなさん。みすず学苑の広告&CMはご存知でしょうか?

個人的には興味ない体を匂わせていますが、都内の電車内とかで見かけちゃった時なんかは、人知れずニヤけが止まらなくなります。
多分バレてます。

いやー、はじめて見た時はそりゃ面食らいましたけど、今ではもはや自ら探すレベル。
残念ながら首都圏にしか存在しないため、普段あまり見ることはできませんが、もし知らない方がいらっしゃいましたらぜひご覧になってみてください。

スポンサードリンク

not 吉◯興業 but 予備校

まずGoogleを開いて「みすず学苑 広告」と打って画像タブを開いみます。
すると、はい

みすず学苑広告一覧

ご確認いただけましたでしょうか。
ヤマトタケルノミコト、その人です。あとプリンとか舞ってます。

これがみすず学苑です。なにって予備校です。

では、お次にCM参ります。

いかがでしょうか。

怪人2重にメンド臭eeeee!!!  アハハハ

みなさんの琴線に触れるものだったかどうかはわかりませんが、僕はいま泣きそうです。

友人に観せたら「なにこれちょっとこわい」って言われましたが、君はまだ日が浅いだけだと言っておきました。 

なぜこんなにもインパクトある広告なのか?

そもそもよしだは、なぜにこの疑問を解消しようと思ったか?については、ふと思い立ったからに他なりません。

いろいろ学校やら教育について思いを巡らせていたら、いつの間にか1周回って帰ってこなくなる時がある。
で、今回たまたまその先にあったのがみすず学苑だった、ということなのですが、みなさんにもよくあるのではないでしょうか?無いか

では、本題ということでこのみすず学苑が展開する広告&CMにはいったいどんな意味が隠されているのか。

正直調べてみて特に深い理由がなければ、それはそれでむしろその奇抜さに惚れていたところですが、見当違いも甚だしい結果に。

あれだけ振り切ったコンテンツを世に放つ意味を、思い知らされた次第です。

一貫したポリシーによる明確な募集生徒像

その答えは、みすず学苑のHPにありました。

▶ みすず学苑CMの謎を解く | 予備校ならみすず学苑 : http://www.misuzu-gakuen.jp/cm-q/cm1.html

こちらのページをみてもらえれば、全ての謎が解けるのですが、一部以下で抜粋してみます。

まず、なぜみすず学苑の広告やCMは毎年意味不明なのか?という問いに対し、このように書かれてあります。

では、なぜダジャレかと言えば、1960年までは、同音異義や掛詞(かけことば)は、「駄」のつかない「シャレ」と呼ばれ、知性や教養ある人が使う、優れた言葉だったのです。ところが、1960年に誰かが「駄」をつけ、シャレを貶(おとし)める風潮が始まったのです。
 これは、志を持って捲土重来(けんどじゅうらい)する人を、「浪人」と呼んで貶(おとし)める風潮に似てます。学苑長は、これに憤るのです。だから、「浪人生よ、誇りを持って開き直れ。ダジャレよ、誇りを持って開き直れ」という、裏のメッセージがあるのです。それで、毎年開き直って、ダジャレのCMを貫くのです。

この時点で、すでにあのしょーもないダジャレの裏側に、こんな熱いメッセージが込められていたのか、と気付かされます。

そして、「あんなCMを見て、予備校としてのみすず学苑に、来る生徒がいるのですか?」というちょっと辛辣な問いに対しても、よくぞ聞いてくれたと言わんばかりにこう答えます。

あのCMを見て、「何となく面白そうだな」と感じる、シャレの分かる、明るくて素直な子に来てほしいのです。つまり、他の予備校は、「学力」で生徒を選別しますが、みすず学苑は、CMによって「性質」を選別してるのです
〜中略〜
また多くの場合、あのCMがいいと思う生徒は、既成概念の枠を越えられる生徒です。良くないと思う生徒は、既成概念の枠を越えられない生徒です。つまり、「予備校は、予備校らしくあるべきだ」と思う生徒です。そんな生徒は、そういう予備校に行けば良いのです。

ファーーー!!
この圧倒的な割り切り方、自校が求める人物像をここまで描き、それを広報戦略にダイレクトに結びつけているとは思いもよらなんだ。

本当に自校をよいと思って来てもらうためには、誤解を恐れずその予備校らしい大胆な策を打ち出す。
賛否あるかもしれないが、一部の人間に強烈に支持され興味を持ってもらったほうがいいという姿勢が非常に鮮明です。

八方美人で横並びの教育業界において、こうした芸当はまず真似できないものだろうなと。
あえて挙げられるとすれば国際教養、近畿、立命館アジア太平洋大学あたりですが、その他の学校・教育機関では差別化にならないようなことを、テンプレに乗せて発信するのが関の山。

18歳人口減少期に、学校がすべき広報戦略

どの学校も、今は受験者を獲得することに必死だと思います。

18歳人口がさらに減り始める時代を迎え、各校とにかく量をカバーすべしと躍起になっているところも多いはず。

18-population
出典:資料6-2 : http://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/kihon5/1kai/siryo6-2-7.pdf

ですが、今回のみすず学苑のように、”量”ではなく”質”で生徒を募集するというアプローチの方が、至極正統で理にかなった施策です。

以前大学の中退問題を扱うNPOにいた際、欲しい学生像が明確でない広報戦略は、後の中退率を上げる一因として考えられていました。
とにかく手当たり次第に入学生を集めても、目的意識が曖昧な学生も多く含まれ、結局何年もしないうちに辞めてしまうケースが多発するのです。

大学側が発する不明瞭で漠然としたメッセージに、なんとなく反応した学生が集まった結果、中退という道をたどる。
大学としては、本来得られるはずだった学費を失い、さらに中退者によってネット・SNS上に不評が拡散。それを見た次の受験生が進学先候補からはずし、以下悪循環で生徒がより集まらなくなる。

そういったリスクも踏まえ、学校側はどんな学生であれば自校で充実した生活を送れるか(成長できるか)、という点を把握しておく必要があります。
それができてはじめて、”質”を重視した学生募集、広報を展開することができるのです。

みすず学苑は、そうした自校で伸びる生徒の特徴をしっかり把握しており、大人数ではなくあくまで少人数と絞った中での生徒募集が合格実績につながっています。

シュリンクしていくマーケットだからこそ、無闇に数を追うのでなく、しっかりとターゲットをセグメントし、その層に刺さる施策を徹底すること。
これが今後、どの学校にも求められていくものと思います。