以前、『Edtechが変える教育の未来』という書籍から、Edtechの可能性や課題についてお伝えしました。

今回は、Edtech関連書第2弾ということで、こちらも入門書的な位置づけとなる『Edtech テクノロジーで教育が変わり、人類は「進化」する』より、前回ご紹介した本では触れられていない視点や内容を中心に、ご紹介していこうと思います!

Edtechを、より身近な例とテクノロジーから解説した1冊

第1章 教育×テクノロジー エドテックとは何なのか?
第2章 エドテックによって起こる教育イノベーション
第3章 米国で始まり日本へ 次々と生まれるエドテックサービス
第4章 小学校、中学校、高校、大学…教育機関にもたらされる変革
第5章 エドテックが教育と人類を「進化」させる

前回記事が、広くEdtechの概要や国の動き含めた今後の展望を記した書籍と捉えると、本書はEdtechがより具体的に学校現場や子どもたちの教育をどのように変えていくのかがわかりやすく解説された内容です。

比較すると、教育関係者や個人の学びをアップデートしたい社会人の方が教養として楽しめる内容に対して、今回は、より子どもたちの教育についてリアルにイメージできる内容となり、特に保護者の方がご覧になって参考になるかと思います。

また、そもそもの部分でAIやIoT、ビッグデータといったテクノロジーに詳しくない方でも、それがどういう技術なのか、どのようにEdtechに活かされているのか取り上げている章もあります。
単純にテクノロジーに関する知識のアップデートや、Edtechが普及する背景含めて理解しておきたいという方にもオススメです。

Edtechは、家庭環境による格差や多様な子どもたちを救う手段になる

本書の一部に触れていくと、まずEdtechの特徴として「時間や場所に縛られない」「個別最適化学習(アダプティブ・ラーニング)」「双方向型、協働学習の実現」などは前回同様に挙げられています。

その上で、それらが以下のような教育課題を解決できるとしています。

・マイノリティーや弱者を救う
・地域の教育機会格差を是正する
・教育費負担を軽減する
・モチベーションの低下を防ぐ

例えば、自分の子どもが身体が弱く、毎日学校に行くことができないとします。
そうすると勉強についていけなかったり、クラスにも馴染めず、他者との十分な関わりを持てずに過ごすことになります。

従来の学校であれば、先生個々の対応に委ねられ、おおよそは仕方がないこととして対応が難しい部分がありました。

しかし、Edtechを活用することによって、自宅や病室からでもWebカメラを使いリアルタイムで授業に参加したり、オンライン上でのコミュニケーションツールを用いて、授業に関することや友だちの話を共有し、場所は異なれど、同じ“時”を過ごすことが可能になります。

また、目や耳に障がいを持ち、みんなと同じような授業を受けられないケースでも、PCやタブレット端末を用いて字幕や音声をもとに、ほぼ同じような授業も受けられるようになります。

その他にも、現在はMOOCや有名講師によるオンライン授業コンテンツなど、住んでいる場所に関係なく、どこでも質の高い教育を受けられるようになりました。
年間数十万にもなる塾代はなかなか払えない。けれど月額980円のオンライン授業サービスなら払ってあげられる。
この違いだけでも全国どれほどの家庭、そして子どもたちが救われるのか。
親の収入格差がそのまま教育格差にもつながる社会において、まだまだそれだけでは足りないかもしれませんが、そうした選択肢が増えたことが何より重要かと思います。

こうしたことを知っているのといなのとでは、家庭における教育方針や子どもとの接し方も変わってくると思います。
Edtechが国の教育や学校だけの話ではなく、直接みなさんの子育てにも関わってくることを感じられるお話が他にもまだ載っていますので、そちらもぜひチェックしてみてほしいと思います。

テクノロジーを切り口にしたEdtech紹介

その他、本書ではテクノロジーを切り口にしてEdtechを紹介する箇所もあります。
「第2章 エドテックによって起こる教育イノベーション」では、以下テクノロジーがどのようにEdtechに寄与し、可能性を広げているのかが詳しく説明されています。

・IoT ・SNS ・ビッグデータ ・VR、AR ・アバター ・AI
・第5世代(5G)無線通信規格

例えば「IoT」については、

Edtech テクノロジーで教育が変わり、人類は「進化」する-IoTについて
(※画面をタップすると拡大します)

といった具合に、そもそもIoTとは?といった点から詳しく掘り下げ、「その技術のそういう特徴があのサービスのこういう機能に活かされているんだ!」といった一段深い理解につながっていきます。

もちろん、全員が全員理解する必要はないかもしれませんが、「テクノロジー」というものに対してアレルギーのある方や、まだ理解不足と思われている方にとっては、それらに親しみをもつキッカケになるかもしれません。
前回記事にもあったように、それらを使う側の人間が、不理解なものに対し距離をとってしまい、本来受けられる恩恵を受けられないのは勿体なさすぎます。

「わからない」ではなく、「少しでもわかろう、学ぼう」とする中でEdtechを正しく有効活用できるようになっていくはずです。

他人事にしてしまうと本当に勿体ないEdtech

今回は、教育に関心のある保護者の方に向けて、一部をご紹介してきました。

すでに子どもの教育について熱心に調べられている方にとっては、最新の教育事情が整理された本として、まだEdtechという言葉も知らなかったという方は、ぜひ本書からその可能性や子どもたちの未来の教育を想像してみてください!

Edtechというものが、比較的新しい分野だからこそ、今から少しずつ知っていくことで、皆さんのお子さんにより良い教育を与えるキッカケになるはずです。