転職に限らず、今後のキャリアを考える上で必要な思考法がぎっちり詰まった良書『転職の思考法』をご紹介します!

これ正直、社会人経験を積んで「そろそろ転職でも〜」と思っている方はもちろん、就活生や新卒の方にもオススメの1冊です!
自身のキャリアや価値について、抱きがちな思い込みや疑問を物語形式で解消します。

転職するしないに関わらず、自身をより価値ある人材に高めていくためにも必要な“思考法”にもなるのでぜひインプットしてみてください!

「このまま今の会社にいていいのか…?」と一度でも思ったら読む本

『転職の思考法』目次

プロローグ このままでいいわけがない。だけど…
第1章 仕事の「寿命」が切れる前に、伸びる市場に身を晒せ
第2章 「転職は悪」は、努力を放棄した者の言い訳にすぎない
第3章 あなたがいなくなっても、確実に会社は回る
第4章 仕事はいつから「楽しくないもの」になったのだろうか?
おわりに

本書は、転職に関するあらゆる不安や葛藤をよりリアルに体感できるよう、物語形式で話が進んでいきます。
印刷機器を扱う中小企業勤務の主人公・青野(30歳)が、キャリアに対し漠然とした不安を抱えていたところ、経営コンサルタント・黒岩と知り合い、「転職の思考法」を学んでいきます。

「特別な専門性もない、大きな組織を率いた経験もない、他者を圧倒するような才能もない」
「業績が伸び悩んでいて、上が詰まっているから、優秀なやつから先に辞めていく」

物語の冒頭、こうした不安を抱える青野に、黒岩はどのような助言を授けるのか。
まず思考法としてレクチャーされたのが、実際に転職活動に動き始める前の部分、第1章で語られている「一生食える」を確保する4つのステップです。

転職はどう進め、何を確認していくべきか?

転職をする上で大事なことは、まず自分自身の価値をはかること。そして、有望な市場や企業を探し出し、それをどう見極めか。その手段として転職エージェントをどう使うかなどのポイントがあります。
それらに対して、以下4ステップを踏まえて説明しているのですが、これがめちゃくちゃ具体的。

STEP1 自分の「マーケットバリュー(市場価値)」を測る
STEP2 今の仕事の「寿命」を知る 
STEP3 強みが死ぬ前に、伸びる市場にピボットする
STEP4 伸びる市場の中から、ベストな会社を見極める

まずSTEP1では、「技術資産」「人的資産」「業界の生産性」の3つのマーケットバリューから、自身のスキルや経験を整理していきます。
そしてSTEP2は、「業界の生産性(伸びている産業)」という話の続きから、「仕事のライフサイクル」という4象限のフレームワークを通してそれを確かめていく方法。
また、その4象限を用いて、自身のポジショニングを移していく考え方がSTEP3で、より具体的な伸びるマーケットの見つけ方、会社選びの3つの基準、転職エージェントとの関わり方についてSTEP4で取り上げられてきます。

特に、「STEP4 伸びる市場の中から、ベストな会社を見極める」では、面談する会社の中で、自身が活躍できるイメージを確かめるための3つの質問や良いベンチャーを見極める3つのポイント、良いエージェントの5箇条など。

不安がつきまとう転職だからこそ、何を踏まえ何を確認し、どんなコミュニケーションをしていくべきかの指針を得ることができます。

<活躍の可能性を確かめる3つの質問>
1、どんな人物を求めていて、どんな活躍をしているか?
2、今いちばん社内で活躍し、評価されている人はどんな人物か?なぜ活躍しているのか?
3、自分と同じように中途で入った人物で、今活躍している人はどんな社内パスを経て、どんな業務を担当しているのか?
<いいベンチャーを見極める3つのポイント>
1、競合はどこか?そして、競合「も」伸びているか?
2、現場のメンバーは優秀か?ベンチャーの経営陣は優秀であるのが当たり前だが、他も優秀か?
3、同業他社からの評判は悪くないか?
<いいエージェントの5箇条>
1、どこがよかったか、入社するうえでの懸念点はどこかをフィードバックしてくれる
2、案件ベースでの「いい、悪い」ではなく、自分のキャリアにとってどういう価値があるかという視点でアドバイスをくれる
3、企業に、回答期限の延長や年収の交渉をしてくれる
4、…

上記、質問やポイントの背景にあるのが、転職時のあるある(不安や疑問)です。
主人公・青野が投げかける質問は、どれも読んでいる側として「そうそうそれ知りたかった!」「確かにそう言われているし、実際はどうなの?」といったことばかり。
めちゃくちゃ共感しつつも、黒岩からの答えに「なるほど!」の連発を繰り返す展開。

ただの解説書ではなく、物語になっているからこそ、その場面場面で考えてしまいそうな疑問などを追体験しながらインプットできます。

考え方を変えていくことで、1歩を踏み出す

本書では、上記のような転職におけるポイントはもちろん、これまで転職にまつわる誤解も解きつつ、そっと背中を押してくれる1冊です。
第2章以降で語られる、「転職は悪」ではない話。最後の最後で訪れる「残るか否か」の迷い。実は、ほとんどの人に「やりたいことは必要ない」と話す理由など。

社会人として働く中で、いつの間にか身についてしまっていた思い込みや誤解を、明確なロジックをもとに解消してくれます。読み終わった後はびっくりするくらい心がとても軽くなっていることを感じ、行使するしない関係なく「転職」という選択肢に向き合うことで生まれる発想や視点の切り替えは、どの社会人にとっても必要なことと感じました。