採用基準
今回取り上げる「採用基準」は、マッキンゼーで人材採用に携わっていた著者が、同社の採用基準や求める人物像、それに関連する日本社会・教育機関における問題について取り上げた本です。

個人的にコンサルの仕事術に興味があったのと、どんな人物が求められマッキンゼーに入社するのか、日本が必要としているグローバル人材とはどんな資質を持っているのか、あたりを知るべく読んでみましたが、これまでの誤解も解け、教育的にも改めて考えさせられる内容でした。

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マッキンゼーとは?コンサルとは?を知るための本

マッキンゼー・アンド・カンパニーHP
マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社 | McKinsey & Company

まずはじめに断っておくと、この本を読んだからマッキンゼーに受かりやすくなったり、一般企業の採用プロセスに直接導入できたりといったものではありません
確かにどんな採用基準が設けられ、どういった視点で見られているのかについては知ることができます。
しかし就活生にとって、それは就職活動の短い間に身につくものではなく、これまでの生き方や個々の考え方・思考プロセスにフォーカスしているため、簡単に変えられるものではありません。
企業の採用担当にしても、マッキンゼーの基準を参考にしたところで優秀な人材が集まるわけでもなく、自社の”優秀”の意味をよく考えておかねばならないことがわかります。

ただ、そうしたよくある誤解についても著者は取り上げ、ケース面接対策や地頭信仰といったものがいかに的外れであるかを、実際に採用する人物像との違いから分かりやすく説明しています。

マッキンゼー出身者が、各界で活躍している現状も踏まえ、マッキンゼーを受ける就活生や転職組に関係無く、本気でキャリアを考えたいという方は読んでおいて損はないと思います。
マッキンゼーを受ける前によく知り、先入観や誤解を解いておきたいという方には、言わずもがな有用です。

リーダーシップ!リーダーシップ!リーダーシップ!

ではどんなスキルが求められているのか、マッキンゼーで働くには何が必要か、という問いにこの本から得られる回答は、まさに「リーダーシップ」です。

「リーダーシップ」という言葉がこの本の中で何十回、もしくは何百回も書かれていることがその証明で、よくある誤解にも取り上げられる「コンサル=論理的思考力、分析力」は、間違っていないが本質はそこではない、とのことです。

これはそもそもコンサルティング業への誤解があるとし、ただ分析し、事業プランを練り、それをクライアントにプレゼンする、だけではないことを強調。
あくまでコンサルティング業はサービス業であり、”プランの提案”ではなく、”問題を解決すること”が求められている仕事だ、ということに注意を払うべきだと言っています。

問題解決は1人でするものではなく、チームを率いて全体の力をもってするもの。クライアントの社長から課題を聞き出す際や、部門間の調整の際も、人間相手の仕事であること強く意識し、その組織全体を目標に向けて力強く引っ張っていく必要があります。

それら過程で必要になってくるのは間違いなく「論理的思考力」よりも「リーダーシップ」を伴う行動であり、採用基準の第1にくる資質が「リーダーシップ」であることも強くうなずけます。

採用基準の優先順位

求められる資質の優先順位的には、

1,リーダーシップ
2,地頭のよさ
3,英語力

とされており、これだけでもコンサルに対する誤解を解き、冷静に理解を深められると思います。

2番目に「地頭のよさ」がきていますが、本書で触れられる量は、リーダーシップに比べたら圧倒的に希薄で、”オマケ”や”ついで”に語られるものでしかありません。(確かに必要ではあるが、リーダーシップに比べたら比ではないとのこと)

リーダーシップを説くために、わざわざマッキンゼーを持ち出しているのではないかと思えるくらい、書籍の9割はリーダーシップに関する記述で埋まっているという本書
2章以降の全章で「リーダー」もしくは「リーダーシップ」について言及しており、その身に付け方、組織での活かし方、リーダーがとるべき4つの行動、自身の将来にも有用であることなど実際のケースも交え綴られ、マッキンゼーがどれほどリーダーとなりうる人材を求めているかがわかります。

入社するためのテクニックやノウハウについては全く書かれていませんが、読者のキャリアにも多大に影響を与えるであろう「リーダーシップ」について、世界最高峰のコンサルティングファームの考え方を学ぶことができます

そして「リーダーシップ」は、才能でもカリスマ的なものでもなく、誰でも訓練によって身に付けられるものだという記述に、ひそかに勇気づけられたのも事実です。

まとめ

コンサルとは論理的思考力!という固定観念を見事に取っ払ってくれる本書。考えてみれば確かにそうだと感じることも、機会がないとつい周りの意見に流されてしまうことから、改めて自分の頭で考える必要性を感じました。

また、リーダーシップは誰でも身に付けられるというくだりで、なぜこれほどまでにリーダーシップ教育が軽視されているのかという現状を分析。
著者によると、そこには日本社会や企業のあり方が大きく関係しており、成果主義に徹しきれない日本企業にリーダーシップが浸透しないのはもっともだとしています。

その成果主義とリーダーシップの関係性は非常に興味深く、自身のキャリアを考える上でどんな企業で働くかの示唆を与えてくれます。

内容は非常にシンプルで分かりやすく、マッキンゼーでもそんなもんかと拍子抜けしてしまう点も多くありますが、だからこそ誰にでも通用するパワフルさがあるのかもしれないと感じさせるものでした。

リーダーシップについて学ぶ際は、是非手元に置いておきたい1冊です。