黒板
というお話。

「片手にチョーク、片手にスマホ。」ハイブリッド黒板アプリ“Kocri” | ICT教育ニュース

こちらの記事で「Kocri」についての説明がありますが、それ以上にサービス提供側にとっては見逃せない記述を発見。授業内で使われることを想定したサービスであれば、是非頭に入れておきたい視点だなぁとメモがてら取り上げておきます。

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授業は即興で行われる訳ではない

ハイブリッド黒板アプリとして、電子黒板とは異なる可能性を提案したとして話題になった「Kocri」。

▶ ハイブリッド黒板アプリ 「Kocri(コクリ)」 : http://kocri.com/

スマホ画面をプロジェクターとリンクさせ映写することで、より視覚的な授業が可能に。社会や地歴で日本地図を映し出し、その上からチョークで説明を加えたり、罫線を引くことで英単語をきれいに書く練習もできるなど、これまで不可能だった授業を可能にするツールとして期待されていました。

ところが、記事中にある「Kocri」を使った公開授業では、ただ黒板の空いたスペースに画像を映しっぱなしにするだけという、決して有効利用されているとは言えない授業風景が。

その原因としてあげられた以下の記述は、授業がそもそもどのように成り立っているか、という点について重要な気付きを与えてくれています。

教師の板書や資料の貼り付け労力を軽減し、授業のアクティブ化や生徒の発表を活性化させるという「映し出して、書き込める」“Kocri”の最も得意な使われ方が行われていなかったのだ。

その一番の原因は、教師が行う板書の完成度の高さにあった。授業設計が完璧に行われている授業では、板書の内容やスペースの使い方もしっかり計算されていて、授業の流れ=黒板の使い方、になっている。このやり方では、“Kocri”を生かす時間もスペースもないのだ。

なるほどなー、と
使い方にもよりますが、たしかに映写するってことは、黒板の一部を使えなくする、ってことでもありますもんね。

そもそも授業は、教員個々の経験や綿密な計画・設計のもと、何をどう教えるのかといった点が事細かに決まっているもの。
毎年毎年、どう板書すればわかりやすく説明できるか、きれいにまとめられるか、といった書き方1つとっても、経験に則った方法で教えた方が効率がよい。

言われてみれば確かにそうだと。気づきそうで気づかなかったこの視点は、ただツールでできることを増やす以上に、どうしたら導入コストを抑えインパクトを最大化するかといった点を考えさせられます。

教育現場になじむ導入」をいかに実現できるか。

もちろん、公開授業をした教員がまだ使いこなせていなかっただけでは?という見方もできますが、教員サイドにそれを求めてしまうのは酷なこと。

現場の先生に余裕が無いことは周知の事実。サービスを使ってみようとする意欲、使いこなすための時間、授業に組み込むための試行錯誤といった見えないコストについても、どこまでデザインできるかが問われている気がします。

テクノロジーオリエンテッドで生み出されたプロダクトはイケてない、となんとかエモンも言っていましたが、Edtech界隈も例に漏れず、教育現場への理解が重要だと改めて考えさせられます。

ハイブリッド黒板アプリkocri