最近参加した教育イベントにて、先生のスキルアップには何が必要かー、というディスカッションをしてきました。一般的には、先生は普段からやることも多く忙しいため、まずスキルアップするための”時間”が必要だという意見が多数。
個人的にも、まず”時間”の確保が重要で、その上で何のスキルをどういった目的で向上させていくかという目的意識の明確化が必要では?という考えでした。
ただ周りを見渡すと、イベント参加者の9割は現役の先生。”時間”のないはずの先生が、これほどイベントに参加している現状はどういうことなのかと。
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必要なのは「時間」ではなく「環境」?
確かに先生には時間が必要で、スキルアップには不可欠です。ただ、こうして時間をつくり参加している方も多くいる中、時間の必要性について発表してもおもしろくないなと。
そんな時、都内で副校長先生をしているという方がグループ内でこう発言。
「教員のスキルアップなんて、上(教育委員会)も保護者も期待していないし求められていない。」
現場で数十年勤めてきた方の言葉だっただけに、かなりパンチの効いたお言葉をちょうだい。あーそうかと。基本的に教員のスキルアップは、個人のやる気や良心に委ねられ、やるなら個人でやってくれというスタンスなのだと。
そして何より、個人でやっている分には構わないが、それを学校に持ち込んで余計な取り組みや活動をしてくれるな。そんなしょーもない空気が間違いなくあるのだという。要は、勝手に仕事を増やしてくれるなの精神。
特に何か新しい事をしようとすると、教育委員会が口を出し、上から言われた通りのことしかできない。
保護者は保護者で、進学校以外ではとりあえず学校という集団生活の中で、それなりに勉強をして卒業させてくれればいいという程度の期待でしかなく、子供を預かってもらっている手前、学校や教員に過度な期待や意見もしにくい。(一部のモンペが訴えるのは、大抵私的な要求であり、多くは教員のスキル云々とは関係が薄いとのこと)
教員のスキルアップ?よく分からないけど、するならしてもらってもいいですよ、程度なのだとか。
ちなみにその副校長先生は、期待されていないのなら勝手にやってしまおうということで、民間と組んで公立学校としては珍しい先進的な取り組みを行っているそうな。
当然、教育委員会から電話がかかってくるようですが、日々校長先生と熱い電話の譲り合いをしているとのこと。笑
スキルアップし続けられる環境をどうつくるか
これだけ上からも保護者からも、スキルアップを期待されず、変にやる気をだそうものなら厄介者のレッテルを貼られてしまう環境。決まりきった仕事を変わらず遂行し続けることに価値を置く組織だからこそ、危機感や向上心というものも育ちにくいのだなぁと。
確かにこんな環境下で、個々の成長をその意欲にだけ依存してしまってはいつか心も折れますよね、っていう心折設計を再確認。
この仕組みや環境が変わらなければ、そもそも時間を生み出そうとする意欲も出てこない。
時間をつくろうとしない教員が悪い、と個人にその責任・原因の一端を求める前に、教員がどんな環境に置かれているのか、それが教員個人で解決できる問題なのかという点は考慮しておくべきと感じました。
教員個々の頑張りや取り組みを正当に評価する仕組みが学校内にないなら、その頑張りを広く社会に認めてもらえるよう発信していく方向性はとれないものかと。
ありそうなのは、勉強会やセミナー、各種イベントなどのスキルアップ機会を掲載するプラットフォームをつくり、参加した勉強会に応じてバッジや証明書などをWeb上で発行。そのサービスを通して、生徒の親などは近隣学校で意欲的な先生を検索し、学校選びの参考にするというシステム。
先生自身のブランディングにも役立つし、何より自分の学びがストックされるサービスは先生自身にプラスになる。ただその反面、ITなどに疎い先生は登録もできず、不公平が生じるからそんなもの使うなと、余計な圧力がかかったりもしそう。
第三者的に、先生を評価するという仕組みは必要な気もしますが、業界のしがらみだったり規制だったりと面倒事は不可避でしょうね。
個々の分野に特化したサービスが生まれる一方、業界の構造にパンチくらわすサービスが出てこないかなぁとも思いつつ、自分でも考えていこうと思います。